はりきゅう鍼藺堂

家庭薬膳

■春の養生
 春は五臓六腑でいうと肝の季節です。肝は血を主さどっています。血はイライラすると消耗してしいます。春はイライラせずに回りの人を褒めましょう。そして褒めている自分も褒めましょう。もしイライラして怒ってばかりだと、血を消耗して身体が冷えて夏に汗が出なくなってしまいます。汗が出ないのは身体が冷えている証拠です。汗がかける身体を作るため、春は他人も自分も褒めてください。

酸味取り入れ気分快適に
 酸味は、気や血のめぐりと関係の深い「肝」に作用し、イライラしやすいときにはリラックスに、疲れたときにはリフレッシュに役立ちます。酢や柑橘系の果物、梅干しなどがおすすめです。

食事のときは緑茶を添えて
 春はからだの中の老廃物を外に排泄する季節。お茶の苦味や渋みには解毒作用があるので、普段より濃い目にいれる。また食べ物に含まれる余分な成分を取り除くために、食後ではなく食前か食事中に温かくして飲むとよいでしょう。ただし、冷え性のひとや胃の弱い人は少量にします。

春の食卓 野草を食べましょう
 山菜や野草は冬の大地を突き破り力強く伸びたパワーがあります。これが細胞を活性化します。そしてほのかな苦味は胃腸を活発にして体の余分な熱を抜きます。ただし調理にはアクをしっかり抜きます。また、タンパク質やデンプンと炊合せて強アルカリ性を緩和します。
 例えば、よもぎ団子やフキと厚揚げの炊合せ、木の芽(あけびのつる)と卵、菜の花の辛子和えの巻きずしなど。

■冬の養生
 冬は腎の季節です。この季節、植物は種の状態でエネルギーをジッと土の中で蓄え、春の芽生えに備えます。種は生命力の凝縮した形であり、種の形と腎臓の形も大変よく似ています。腎は骨を主り、腰の府であり精を蓄え、発育成長を主っていますから精力不足、根気がない、腰がだるい、発育不足、歯が弱い、歯槽膿漏、虫歯が多い、骨がもろい、脱毛、髪にツヤがない等は腎虚の症状です。
 小豆は腎臓の形によく似ています。同じ形の小豆を食べることで、腎臓の機能を補いましょう。
■煮小豆

煮小豆
 材料(2人分)
  小豆 1/2カップ
  昆布 5cm角
  塩  少々
 作り方
  1.昆布は表面をよく絞った布で軽く拭き、1cm角に切る。
  2.鍋に洗った小豆と昆布を入れ、火にかける。
  3.沸騰したら弱火にし、フタをして30〜40分、コトコト煮る。
  4.小豆がやわらかくなったら塩少々を入れ、味を調える。
   ※冷蔵庫で約1週間は保存が可能です。
 効能
  1.利尿作用。
  2.むくみを取ります。
  3.身体を引き締め、内臓の下垂をふせぎます。
  4.糖尿病や高血圧、メタボなど生活習慣病の予防に効果があります。

■べた煮(里芋)
 寒い冬の料理、べた煮の主役の里芋です。現在は大和早生(やまとわせ)という丸い里芋が中心でが、長岡には土垂(どたれ)という勾玉のような格好をした里芋があります。この土垂は、色は白く肉質は緻密で触感はよく、甘みがあり粘りがとても強いのが特徴です。
ベタ煮
 材料
  塩鮭の骨、頭と背骨、大根、里芋、土垂、味噌、酒粕、生姜、酒
 作り方
  1.鮭の骨の下拵え
  2.塩鮭の頭と骨を適当な大きさに切り、強めに塩を振り半日ほど置きます。
  3.軽く流して、乾し、少し焼き網で炙ります。
  4.次に鮭一尾に1リットルあたりを目安に細火でコトコト煮ます。
  5.塩からすぎれば水を加え、3時間ほど煮ると骨が柔らかくなります。
  6.大根と味噌生姜酒などを入れ、さらに15分ほど煮ます。
    ※大根は糠で下煮します。大根は白首大根のほうが骨の臭みが取れます。
  7.最後に里芋を入れ、火が通れば酒粕を加えます。
    ※里芋はよく洗ってから乾燥させ皮を剥き、同じ大きさに切り揃えます。
  8.火を止めて味をなじませます。

 里芋はカリウムと細かい粒子を含み毒消しとして使われ、食すれば、胃腸を保護し消化吸収を助け、便秘にも効果があります。また粘りは免疫を高めます。

■里芋湿布
 古来より有名な毒出し法で、いも薬と呼ばれてきました。
 関節炎、打ち身、捻挫、打撲、骨折、虫刺され、耳下腺炎、リューマチ、
 腹膜炎、中耳炎、通風、癌。

 材料
  里芋       大1個〜
  小麦粉      里芋と同量〜2倍
  おろしショウガ  里芋の1割

 作り方
  皮を剥いた里芋をすりおろし、おろしショウガと小麦粉を加えて、耳たぶより
  やや緩めの固さになるように練ります。
里芋をすりおろしてショウガと小麦粉を加えた

 手当て方法
  これを木綿の布に1〜1.5センチ厚にのばして湿布します。
木綿のハンカチにのばす
  3〜4時間に1回交換してください。
  ※湿布でかぶれる方は、あらかじめゴマ油を塗っておくと防げます。
  ※私も通風のときは使いました。鍼灸で自己治療をしたあと里芋湿布をすると、
   半日位で痛みがやわらぎ、2日もすると痛みは無くなります。

■秋の養生
 夏場は熱いので表皮(毛穴)が開いて、皮膚呼吸や老廃物、水分の代謝が盛んに行なわれやすくなっています。しかし秋になり風が冷くなってくると表皮は閉じてしまいます。それを補うため鼻や気管の呼吸が増え、喉や鼻への負担大きくなります。そのため咳や鼻炎の症状がでやすくなります。
 彼岸も過ぎると冷たく乾燥した空気が、喉や鼻粘膜さらに肺を傷つけ風邪を引きやすくなり、喘息・扁桃腺炎を引き起こす原因ともなります。
 レンコンは穴が開いており、節もあります。これは人で言うと喉の形によく似ています。東洋医学では形の似たものを食べ身体を整えるという考え方があります。レンコンをたべて鼻と器官を整えて、冬を迎える準備をしましょう。
レンコンの味噌漬け
 作り方
  1.レンコンは皮をむいて半分に切ります。
みそレンコン
  2.茹でるか蒸して火を通します。
  3.味噌と水を入れてよくまぜ、レンコンを入れます。
    (味噌と水の割合はお好みで大丈夫です)
  4.冷暗所にて1晩置いて味をなじませます。
  5.味噌をさっと洗って、食べやすい大きさに切ります。
    レンコンの繊維に沿って縦に切ると食感が良くなります。
縦切り  横切り

■朝晩が涼しくなってくる秋口の養生
 夏は暑いのでの食時を抜いたり、冷たい素麺などで済ませがちです。そのため胃腸が冷えてダメージを受けています。気温が高いうちは外から熱をもらっているため動けますが、秋口になり朝晩冷えることが多くなると身体の熱が少なくなり、だるくて動けない夏バテになります。 だるくて動けない食欲がなかなか戻らないときは、身体の中から暖める効果のある葛湯(くずゆ)を飲んで夏バテを乗り切りましょう。
 風邪のときは、生姜を加えたり、便秘にはリンゴを加えてください。しょう油、ミソなどを加えても良いです。葛は漢方では君薬に属しています。副作用が無く効果抜群です。

葛湯
 材料
  本葛粉 小さじ1(成分にジャガイモが入ってないことを確認してください)
  自然塩 一つまみ
  熱 湯 葛の10倍
葛湯
  今回は蒸しリンゴを加えてあります。
 作り方
  1.小さじいっぱいの葛粉を大さじ 1/2の水で溶きます。
  2.熱湯を少しづつ加え、かき混ぜます。
  3.葛がとけたら、自然塩を一つまみ加え味をつけます。
 飲み方
  一気に飲まず少しづつ味わいながら飲んでください。

葛ねり
 材料
  本葛粉 大さじ1(成分にジャガイモが入ってないことを確認してください)
  熱 湯 150ml
  自然塩 一つまみ
 作り方
  1.葛粉を150mlの水でときます。
  2.火にかけかき混ぜながら粘りが出て透明なるまで煮ます。
  3.自然塩を一つまみ加え味をつけます。
 食べ方
  一気に食べずに少しづつ味わいながら食べてください。

 ※葛湯も葛ねりもミネラルを補充するのに、生姜やリンゴ、しょう油、
  ミソを加えて味をつけるのも良いです。

■炒赤小豆湯(夏の養生)
 夏になるとむくんで膝や腰が痛くなることがあります。下半身が冷え、水分排泄機能の低下によるものです。軽く発汗しながら利尿するようにします。漢方薬で炒赤小豆湯がおすすめです。

材料
 小豆 30g
 水  2カップ
炒小豆湯
作り方
 1.小豆を適宜炒ります。
 2.小豆の良い匂いがしてきたら、カップ2杯の水を加えます。
 3.水が半量になるまで煎じます。
  ※小豆は味がしませんが、そのまま食べても大丈夫です。
   また、あずきかぼちゃの材料にしても大丈夫です。

飲み方
 1日数回、空腹時服用します。


■あずきかぼちゃ(梅雨の養生)
 あずきかぼちゃには水毒を出して腎臓の働きを強化する作用があり、むくみや
残尿感のある人によく効きます。糖尿病の食事療法としても有名です。甘いものや
肉をやめてこの食箋を続ければ、驚くほど効果があります。
 陰性体質の人には、あずきかぼちゃでなく、昆布入りあずきかぼちゃ(昆布は
あずきの10%)が合います。
あずきかぼちゃ
材料
 あずき1カップ
 水3カップ+1カップ
 ねぎの白ひげ(根)少々
 かぼちゃ150g
 自然塩小さじ1
作り方 1.鍋にあずきと3カップの水、細かく刻んだねぎの白ひげを入れて
      強火にかけ、沸騰したら中火にし、別に用意した1カップの水を
      4〜5回に分けて差し水しながら煮ます。
    2.あずきがやわらかくなったら分量の塩を混ぜ、3×4センチ角に
      切ったかぼちゃを加えて弱火で静かに煮込みます。
    3.かぼちゃが煮えたらできあがり。
食べ方
 朝晩、みそ汁椀に半分ずつ食べます。なお、昆布入りでつくる場合は最初から
一緒に煮てください。


■梅肉エキスで夏バテ防止
 慢性の下痢、食欲不振にどうぞ。
材料
 青梅(完熟前)2Kg
作り方
  1.完熟前の青梅を水でよく洗います。
  2.木づちで割って、種を取ります。
  3.瀬戸製またはセラミックのおろし器で下ろします。
    おろした後、木綿の袋(さらし等)に入れて汁を良く絞ります。
  4.土鍋かホーローの鍋で2時間ぐらいかき混ぜながら弱火で煮詰めます。
  5.煮詰めているうちに茶色に変わってゆく(2時間半位)。
  6.糸を引く状態になったら出来上がり。
梅肉エキス 梅肉エキス
 効 能
  夏場の健康管理に毎日耳かき一杯位食べてください。
  二日酔いには、番茶で溶かして飲むと良く効きます。
  下痢の妙薬。


■レンコン汁で咳止め
 レンコン汁は私の師匠が患者さんに話していた薬膳療法です。東洋医学では白いものは、肺に影響を与えると考えられています。季節の変わり目で、風邪を引きやすい、咳が止まらない方はお試し下さい。

分 類 スイレン科ハス属
成 分 でんぷん、ビタミンC、ビタミンB12、鉄、銅、タンニン、ムチン、食物繊維
作り方 1.生レンコンを水でよく洗います。
レンコン
    2.生レンコンを、皮がついたまますりおろします。
    3.手ぬぐいやガーゼで包んで絞ります。
すりおろし 手ぬぐい
    4.50ccほど絞れたら、絞りたてを少しづつ飲んでください。
レンコン汁
        ※飲みにくい場合は、ハチミツを少し足して飲んでください。
 効き目 咳止め、鼻つまりに、鼻血予防、むくみ、二日酔い、風邪、扁桃炎、口内炎
 注 意 ひどい咳の場合は、早めに来院してください。


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