■遊びの手法
 

■放課後児童健全育成クラブ運営の手法 2010年1月15日  ■詳細2
                        (2010年4月30日修正)

■作業グループワーク■作業を通したケースワーク■児童館・児童クラブにおける作業療法
■子どもからのあれこれ
■受容共感以外の手法





   

 始めに
 放課後児童健全育成事業のクラブである児童クラブ(=学童クラブ・・ひまわりクラブ等)の運営を、どのようにするべきかを、自分なりにまとめてみたいと思う。というのは、いろいろな考え方があるからである。そして、いろいろな手法が存在する。そうした状況の中で、30年間の有明児童センターでの児童クラブ(旧名称学童クラブ)の活動の中で、有用な手法を、法的な観点や子どもの発達段階との考察の中で、提案することが、必要と思ったからである。
 厚生労働省のホームページによれば、下記のように放課後児童健全育成事業について記されている。

放課後児童健全育成事業について(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/houkago-jidou.html)

概要
 児童福祉法第6条の2第2項の規定に基づき、保護者が労働等により昼間家庭にいない小学校に就学しているおおむね10歳未満の児童(放課後児童)に対し、授業の終了後に児童館等を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図るものです。

設置状況

全国

16,685か所

登録児童数

749,478人

(平成19年5月1日現在:厚生労働省雇用均等・児童家庭局育成環境課調べ)

[運営主体別数]

公営

7,409か所

民営

9,276か所

実施主体

市町村、社会福祉法人、父母会、運営委員会、その他の者

実施場所

児童館、学校の余裕教室、学校敷地内専用施設など

事業内容

  • 放課後児童の健康管理、安全確保、情緒の安定

  • 遊びの活動への意欲と態度の形成

  • 遊びを通しての自主性、社会性、創造性を培うこと

  • 放課後児童の遊びの活動状況の把握と家庭への連絡

  • 家庭や地域での遊びの環境づくりへの支援

  • その他放課後児童の健全育成上必要な活動


児童福祉法第6条2第2項の規定
 この法律で、放課後児童健全育成事業とは、小学校に就学しているおおむね10歳未満の児童であつて、その保護者が労働等により昼間家庭にいないものに、政令で定める基準に従い、授業の終了後に児童厚生施設等の施設を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図る事業をいう。

児童福祉法24条
第24条 市町村は、保護者の労働又は疾病その他の政令で定める基準に従い条例で定める事由により、その監護すべき乳児、幼児又は第39条第2項に規定する児童の保育に欠けるところがある場合において、保護者から申込みがあつたときは、それらの児童を保育所において保育しなければならない。ただし、付近に保育所がない等やむを得ない事由があるときは、その他の適切な保護をしなければならない。

 以上の法的な根拠及び法令等を前提して事業内容の項目ごとに私の考え方を展開してみたい

 ・放課後児童の健康管理、安全確保、情緒の安定について
 まず、基本的な視点を持つことが必要である。小学生は、保護育成の対象ではなくて、健全育成の対象である。保育園が保育園と言われる所以は、その保護育成にある。乳児や幼児は、法的に事理弁識
能力(自分の生命を自分で守る能力)が充分でないと考えられている。そこで、保育が必要となるのである。しかしながら、小学生期の児童は発達段階的にも事理弁識能力という観点からも、保護育成の対象ではなくて、健全育成の対象となるのである。保育園までの児童が、転倒して怪我をした場合は、保護者もしくは保育園園長の責任になる。しかしながら、小学生が転倒して怪我をした場合は、その児童もしくはその保護者の責任となる。したがって、小学生期の子どもたちには、賠償責任保険だけではなくて、傷害保険の加入も必要となる。(賠償責任保険と傷害保険は、まったく別のシステムの保険なのですが、一般的にセットとして保険として販売されているので、誤解が生じることが多いのです。保険適用になるかということは、賠償保険対象なのか傷害保険なのかで違うのです。)また、保険という点では、PTAの子ども保険や財団法人児童健全育成財団の児童クラブ共済制度などをかけておくことが必要と考えられます。
 放課後児童の安全確保といった観点から考えてみれば、保育園では、保育園内外での安全確保のための保護育成がなされなければなりません。しかしながら、放課後児童健全育成事業のクラブ(以下児童クラブとする)では、館内においては健全育成がなされるのであり、保護育成はありえないのです。その代わり、昨今の社会情勢の変容の中で、館外については必ずしも安全ではなくなっています。そこで、児童が独りで帰宅する場合は、明るいうちに複数で帰る様に、親子共に指導する必要性があるでしょう。暗くなってからの帰宅は、必ず、保護者または保護者に代わる人が迎えにくることが
必要となります。このように考えれば、児童クラブの閉館時間は、午後7時位まで延長される方向性になってくると思います。
 館内の安全確保においては、小学生時代の子どもたちはアグレッシブな時代ですから、危険な行為や言動をさせないように見守ることが一番大切となります。子ども達の成長は、基本的に子ども同士の切磋琢磨によるものです。したがって、子ども同士の関係性が悪くならないように見守ることが、最重要課題となります。多数で一人をいじめない。不法な暴力をさせない。他人の物を盗らせない。などの配慮が必要です。
 健康管理は、基本的に学校や保育園と同じでしょう。健康診断や発育検査などは学校で行われます。児童クラブでは、基本的なうがい・手洗い・適度な運動などの生活習慣を、身に付けさせることが必要です。また、具合の悪い時は、すぐに保護者に連絡が付くようにしておくことと、万一に備えて、医療機関を把握しておく必要性があります。とくに、時間外診療の場所を調べておくことは重要なことです。
 館内外の環境美化と整理整頓を、子どもたちと一緒にやることがも大切と思います。最近の子どもは働く経験が少なすぎます。家庭でもお手伝いという場面が少なくなっています。毎日の清掃・ゴミ拾い・おやつの後片付け・草とり・館外の清掃などを、職員が率先して実践します。そのなかに作業療法的に、児童をまきこんでいくことが必要だと私は思います。
 情緒の安定という点では,アグレッシブすぎる子どもや裏でいじめをする子どもの被害を受けている子どもが、不安定になるケースがあります。子どもにきちんとした躾をすることが必要です。廊下を走り回らない。遊びのルールを守るなどです。小学生期の児童は、きちんとしたルールがあれば安定するものです。
 逆にアグレッシブ過ぎていつも叱られてばかりいるので、情緒不安定な児童がいます。この児童は、男の子に多く見られます。男の子は、女の子どもに比べて概ね2歳は言語能力に劣ります。言葉では女の子に敵わないので、ついつい手や足が出てしまいます。女の子は社会的参照能力が優れていますが、その点でも男の子ははるかに女の子に劣ります。ですから、石があったら投げ、棒があったら振り回し、穴があったら掘り、高いところに上がり、平らなところは走り回るのは、男の子の本能です。けっして考えた結果ではないのです。ですから、「なんで石なんか投げるの。考えてみなさい」などと説諭されても、男の子は困るのです。だって、考えてやっているわけではないからです。そこで、アグレッシブ過ぎて危険な行為をした場合は、多数の職員がみんなで睨むことは有用です。また「目そらし方略」を使って、違うことに興味を持たせることも必要です。また、本当に危険な行為をしたら、にこやかに近づいていって、子どもの前に座り、悪いことをした手や足を強いくらい握りしめ、「この手は悪い。」と感情を込めて叱り、(ときに複数の大人が一緒に叱り)「でもあなたは良い子」と褒めてやることは有用です。

 ・遊びの活動への意欲と態度の形成
 
小学生期の子ども達は,基本的に何でも遊びにする天才であるともいうことができます。ですから、遊び環境をきちんと整備しておくことが必要です。保育園児のように、指導者が先頭になる必要性は少ない時期でしょう。少子時代ですから、多数の仲間がいる空間と環境を用意することが一番大切です。そしてその空間と仲間は、自己中心的にならないように働きかける必要性があります。みんなと仲良く遊ぶためには順番を守ったり、負けても負けを認めるといった我慢ができなければなりません。意欲とか態度とかは基本的にその子どもの中に発生するものですから、指導者はみんなと遊ぶためには、我慢と諦めが必要なことを躾けることが大切です。ダメなものはダメ。ならぬものはならぬのです。
 少子時代の中で、みんなと遊ぶことにナイーブな子どもも増加しています。大人たちは、すぐにこうした子どもを集団遊ぶをさせたいと思ってしまいます。
 遊びには、援助遊び・一人遊び・並行遊び・集団遊び・ルールある集団遊びといった発達段階があります。ボール遊びでたとえてみます。ボール投げが出来ない子どもに、上級生や大人が援助をしてボール投げをさせます。これが援助遊びです。次に、一人で壁当てやドリブルをさせます。これが一人遊びです。援助遊びを一人遊びへと変化させるのが、一番重要なことです。援助とは自立を促すためにあることに、どうも気づいていない人が、多いように私は危惧しています。一人遊びが出来るようになれば、必然的に他人のことを学ぼうとします。これが並行遊びです。一人遊びが出来る子どもは、必ず並行遊びに移行します。これは人としての本能です。並行遊びが出来るようになったら、中当て等の集団遊びを教えます。教えるというよりは、児童クラブのような場所では、すぐに集団遊びへと子ども達は自主的・無意識的に移行させます。この時、まだ集団遊びが出来ない子どもに、無理に、集団遊びをさせないことも必要となります。子どもという存在は、必ずしもすぐに集団遊びに参加するわけではないからです。その集団が自分を受け入れてくれる存在であるか、自分がその遊びについていけるかを観察しています。この観察期間も含めて、遊びに参加するということだということを指導員は理解することが大切です。ルールある集団遊びというのはドッジボールなどのことです。三歩以上歩いて投げることはできないとか、一回床についたボールが当たってもセーフとか、当たってもそのボールを仲間が空中でキャッチすればセーフとかのルールがあります。児童クラブでは異年齢が一緒ですから、ルールは少なめにして低学年でも遊べるようにすることが必要です。また、30年前から比べると少子時代で、子ども同士でルールを作らせると、高学年が勝手なルールを低学年に押し付けることが多々あります。基本的なルールは、指導員がきちんと決めることが必要です。そして、自主的な自由遊びの中でも、ルールが守られるように働きかけることが必要となります。
 
 ・遊びを通しての自主性、社会性、創造性を培うこと
 
自主性とか社会性とか創造性ということは、基本的に子ども同士の切磋琢磨の結果出てくるものです。指導員が自主性や社会性や創造性を子どもに与えることはできません。ですから、子どもが安心して遊べる遊び場環境作りをすることが、一番の基本となります 
 
同時に子どもは、必ずしもそのままで発展するものでないことも確かです。したがってヴィゴツキーのいう最近接領域を理解しておくことが必要です。最近接領域とは、子どもが発展しようとするそのもう一歩上の領域を提供してあげることです。例えば、折り紙をする場合に、通常、子ども自身の成長では折れないような折り紙の折り方を指導員は知っておく必要性があります。指導員は安全管理・環境整備をしながらも、同時に常に研究することを怠ることは出来ないのです。
 自主性や社会性や創造性を培うためには,上級生や下級生や赤ちゃんや中高校生などの異年齢の存在は有用です。私は児童クラブに4年生以上が在籍することは必要と思います。しかしながら、上級生は定員外として捉えることが必要と思います。つまり69人のクラブに、15人の定員外の4年生以上の存在があって、実際は84人で運営していけばよいと思うのです。もちろんこうした4年生以上の存在は、3年生以下の子ども達の見本となる存在であるように、躾けることが必要です。また、指導員以外の保護者や地域の方々を巻き込んで新奇な事業を展開することは、子ども達の遊びを豊かにするために必要でしょう。
 社会性を培うという観点から考えてみると、子どもは多い方がベターです。児童クラブの適正人数は、私は60人以上と考えています。というのは、1年〜3年生までが20人ずつは居て欲しいと思うからです。魅力ある運営をしていると、上級生になってもクラブをやめる子どもは少ないものです。
 学校週休二日制の実施のために、児童クラブの活動は、圧縮された時間を過ごしています。1年生が学校から帰ってくる時間は、昔は午後2時くらいだったのに、午後3時を回るようになってきました。ですから、子どもに遊び時間を保証する意味と、最近の安全でない地域の中で、閉館時間は午後7時になっていくと私は思います。仮に3時に学校から帰ってきたとしてのスケージュールを以下のように私は思っています。
   午後3時   〜 宿題及び自由遊び
   午後4時   〜 おやつ
   午後4時10分〜 自由遊び
   午後5時15分〜 清掃
   午後5時25分〜 集団遊び指導
   午後6時   〜 帰宅準備及び自由遊び
   午後7時      帰宅完了
 子どもの下校時間が遅くなるにしたがって、活動の優先順位を決めておくことが必要となります。私は男の子の場合は、1に発散・2に遊び・3におやつ・4に宿題かなと思います。女の子は、1におやつとおしゃべり・2に宿題・3に遊びといった感じだと思います。このように考えると、おやつの時間を男の子は3分はかけて、口の中をもぐもぐさせながら遊ばせないように指導することが大切です。女の子は反対に30分以内でおやつ&おしゃべりを終了させることが必要となります。男の子と女の子では学習場面とおやつ場面では、別の場所で行うのも圧縮された時間を有効に過ごすための手法と思います。
 情報化時代と児童クラブや児童センターの関係を考えてみたいと思います。MRIなどで、人間の脳の中の働きが解って来たことは、とても私にとって意義のあることです。頭の悪い人と良い人をMRIの装置に入れて、問題を解かせると、実は頭の良い人の方が脳の一部分しか使っていないことが解ってきたのだそうです。つまり、自主性とか創造性とかの問題は、基礎的な訓練が、出来るだけオートマチックに訓練されて、脳を使わなくてもいろいろなことが出来るようにすることが大切なようです。考える授業ではなくて、考えなくても活動できるように、繰り返し学習することが大切となるようです。同じIQで同じ問題解決に同じ時間をかけた場合でも、女と男では使っている脳の場所が違うことも、MRIで解ったとのことです。こうした科学の発展は、とても私には有意義です。また、良いことをやったら褒め、悪いことをやったら叱るとの方法も問題があることが、行動心理学等の研究で解ってきています。つまり、良いことをやったら褒めてみても、ある時褒められなくなると、とたんに何もしなくなるようになってしまうというのです。今の若者が、職場で長続きしない所以でもあるようです。一つのことが定着をするためには、頑張ってやったら、褒められることもあるし、褒められないこともある。時には良いことを自分がやったと思っても、叱られてしまうこともある。こうした繰り返しの学習の中で、我慢強くチャレンジをする人が生まれてくるようです。親も指導員もあまり子どもに阿るのは、良くないことのようです。

 ・放課後児童の遊びの活動状況の把握と家庭への連絡
 前記のように、子ども達の放課後は圧縮されてきています。そこで、家庭への連絡や連携もおのずから違ったものになります。小学校や保育園のように時間が長い場合は、連絡帳等も必要でしょうが、児童クラブにおいては、連絡帳は必要ありません。それよりも、短い時間の中で子どもの様子をしっかりと観察し、安全管理することが必要です。また緊急時に備えて、携帯電話やメールアドレスの連絡体制を作ることが大切となります。それ以外では、ホームページ等を提供したり、たよりを書いたりして、保護者がクラブの活動を見れるようにしておくのも一つの手法です。また、社会情勢の変容の中で、子どもの送り迎えが原則となる時代と思います。口頭で保護者に話を伝えることが大切と思います。
 言葉というものは書いてしまうと残ってしまいますし、微妙な感情を理解することはできません。とくに小学生期の子ども達は、急激にギャングエイジの時代に突入していきます。自主的にやることの10分の7は悪いこととで、2くらいがどうでも良いことで、1くらいしか良いことはやらないものです。その10分の1の良いことだけを連絡帳に書いていると、少子時代の親世代は、自分の子どもは良い子どもと誤解します。また、悪いことだけを書くのも難しいものです。したがって、「小学生時代の子どもは悪いことから始まるのです。今日も友達とトラぶって私に強く叱られました。でも、本当はこの子はとてもよい子どもで、たんに足が悪いだけです」などと話しかけて、10回話すうちの1回くらいは、「今日は珍しくみんなのために掃除をしました」と褒めることがあるといった感じです。ですから指導員は子どもが帰ってきたら、現場に出て子どもをしっかりと観察して、子どものお迎えの時間には、保護者と話ができる体制に、最低1人はしておくことが必要です。放課後児童の遊びの活動状況の把握を自らしないで、事務室やクラブ室に閉じこもって連絡帳を書く指導員は指導員の資格がないと私は思います。
 少子時代では、女の子しか育てたことのない親は、男の子のことが理解できません。児童クラブの活動の中で保護者の出番を多くして、男の子はこんなものか、女の子はこんなものかということを理解させることが必要です。いくら連絡帳などを書いてみても、実際の場面をみなければ、人は物事を理解できない存在なのです。
 少子時代の親は、親自身が遊びを知らないことが多いものです。土曜日等の活動を活発化させて、親子共々遊びの輪の中に入れていけば、家庭との連携はスムーズになります。また、親同士口コミュニケーションがクラブの理解と子ども理解に大きな役割を果たすことになります。
 保護者の活動としては保護者会としての活動というよりは、保護者を含めた地域のボランティアの活動として実施しています。このために、万一の事故に備えて保護者及びボランティアには、1人年額300円を払っていただいて、賠償責任保険&傷害保険に加入してもらっています。児童クラブでの清掃ボランティア・電話番ボランティア・おやつ配りボランティア等々の活動から、自分の特技を生かして、工作ボランティア・スポーツボランティア・演奏ボランティア・宿題ボランティアなどなどへと発展していくケースが多くあります。こうしたボランティアの皆さんは、児童クラブを子どもが卒業しても、児童クラブ・学校・地域の中でもボランティア活動を継続してやってくれます。保護者を地域のボランティアとして、養成していくことも大切な児童クラブの活動ではないかと思います。
 保護者会の開催をどのようにすべきかについて、私は次のように考えています。年に何回も保護者会を開催しても、来て欲しい人は来なくて、いつも協力してくれる人は、義理で来てくれることが多いものです。そこで、私は保護者会を年に2回に限定しています。3月初旬に新年度に向けての保護者会、そして、7月中旬に夏休みの生活についての保護者会を実施しています。この2回の保護者会にもいろいろな理由をつけて、出席してくださらない保護者も多数います。2回の保護者会は開館時間・閉館時間・児童クラブの方針等基本的なことを伝えなければなりません。出席できない人に郵送しても、見ないことも多いのです。そうした保護者がクレームをつけてくることも多いものです。そこで、そこで、同じ保護者会を複数回開催して、必ず出席してもらうようにしています。3月6日(土)午後1時〜2時・午後5時〜5時半・3月8日(月)午後6時〜6時半・3月9日(火)午後6時〜6時半・3月10日(水)午後6時〜6時半の5回同じ保護者会を開催し、どれかに必ず出席を頂くというものです。このことで児童クラブの基本的な方針の徹底を図っています。
 
 
・家庭や地域での遊びの環境づくりへの支援
 子ども達がよく遊びに行く児童公園などのごみ拾いや草取りなどを、事業計画の中に取り入れることが必要です。そうすれば、自治会等も仲間になってくれます。公園周辺の方々も協力的になってくれます。今の子ども達は勤労体験が不足しています。親子共々、勤労体験として子どもの遊び場整備をするべきです。公園清掃まではいかなくても自分の持ってきたゴミを持ち帰る等の活動は最低のマナーです。
 館外活動として、公園等に遊びに行ったときは同時に、他の子ども達を巻き込んで遊ぶことは有意義です。紙飛行機や風船で遊ぶ時はちょっと多めに材料を持っていって、公園にいる人を一緒に遊びの仲間に入れてあげることが、地域作りにつながります。保育園や特養などに訪問して、ダンスを踊ったり、けん玉披露や一輪車などをやって見せることも出来るでしょう。こうした活動は相互にとって効果があるものです。
 家庭や地域のへ支援というとついつい面倒なことを考えてしまいますが、その地域地域にあったもので無理なく簡単に出来るものから始めることが大切と思います。
 児童クラブは財団法人児童健全育成財団に加入できます。加入すれば様々な補助等を受けることができます。例えば宝くじ協会の屋外固定遊具などの寄贈を受けることができます。児童クラブで宝くじの補助を受けて、保育園や幼稚園と共有の園庭に遊具を設置することも遊び場環境作りです。保育園や幼稚園では園庭開放をしていますから、地域の方々も使ってくれることになります。
 館外に出なくても子ども達や保護者と一緒に児童クラブ内でプランタ等で花を植えれば、近所の人たちも楽しんでくれます。また、オレンジコスモスを植えて種を配ったり、マツバギクを増やして地域に配ることも出来るでしょう。
 マンガや図書なども含めて不用品などを頂いて活用するのも地域つくりの一つです。人が多数居るということはそれだけで財産です。この人が多数居るという財産を利用して、各家庭の不用品が必要な人のところへいくようにすることも大切です。
 少子時代においては、子どもが多数群れている場所が必要です。児童クラブはたくさんの子どもがいます。同様に乳幼児の就園前の子ども達も多数群れる場所の存在が必要です。午前中は施設としてのクラブ室は開いていますから、これを子育てサロン的に活用することも良いのではないかと私は思います。指導員は子育てサロンと児童クラブの指導員を兼務するのです。10時30分〜午後2時まで子育てサロンとして活動して、午後2時半〜7時まで児童クラブとして活動します。こうすると、8時間勤務となります。また、午前中のお母さんたちが、午後の小学生の活動のお手伝いをしてくれることもあるでしょう。小学生もあかちゃんとのふれいあいは大切です。
 
 その他放課後児童の健全育成上必要な活動
 児童クラブの活動を通して、親達に、子育ては「案外楽しいものだ」と感じさせるようにすることが必要です。男の子はアグレッジブだけれど悪気がなくて可愛いとか、女の子はどんどん大人になっていくとか、ダンスが踊れるようになったとか、折り紙が上手くなったとか、友達と遊べるようになったとか、けっこう子どももやるじゃないかと親達に思わせることは大切です。また、親自体も親同士の付き合いを通して学びあって、仲間作りをしていきます。子どもが小学生や保育園時代の親同士の仲間は、案外長続きするものです。子育てが楽しいと分かってくると、2人目・3人目の子どもを産もうとするようになってきます。私の職場のお母さん達はいつも誰かが2人目・3人目を連れてきてくれます。 出生率をあげるためには、何よりも子育てが楽しいとの雰囲気を作ることが一番であると私は思います。
 人間とサルを含めての他の動物の根本的な違いは、人間が二次的な道具を作れることにあると主張されている方がいます。つまり道具を使うことは、人間だけではないことが自然界の研究の中でわかってきたのです。いろいろな動物が道具を上手く使っています。しかしながら、道具のための道具を作ること、つまり、2次的な道具を作ることができるのは、どうも人間だけの特質のようです。このことは、人間は言葉を見つけたこととも関連します。つまり言葉とは、無機質的で連絡帳等で書いてしまうと感情移入がなされないので難しいのですが、同時に、基本的なことを伝える点で、ある意味では2次的な道具の存在であるとも言えるでしょう。私は文章表現が苦手なので、うまく言い表すことが出来ません。たぶん多くの誤解を招く表現が多いことでしょう。それにもかかわらす、文章表現をしようとするのは、人としての本能なのかもしれません。しかしながら、あくまでも道具を作るための道具を作るといった2次的な道具としての言葉を使っているのであり、実際の活動を見てもらわないと全ては理解できないのです。
 子ども達に実体験をさせることが必要です。そしてそれは失敗と痛みを伴うことなのです。あえて子どもに失敗や痛みを与えたいと思う親は、いないでしょう。しかしながら、失敗や痛みは子どもに必要なことなのです。可愛い子どもには旅をさせよとの格言は、今も生き続けているのです。
 言葉と健全育成の関係性を考えてみますと「ことば」の語源が「霊の葉」から来ていることも考える必要性があるでしょう。ことばは無機質でありながら日本人には霊をもった存在でもあるのです。ですから日本人はジョークでも「あなたの乗る飛行機が落ちるかもしれないね」などというジョークは禁句になるのです。霊も持った「ことだま」は下手にすると現実になるとの危惧が、日本人にはあるからです。こうした日本社会の中で、ことばを使うことはとても大変なことですね。
 
 
終わりに
 
(平成22年4月30日修正)
 児童館・児童クラブにおいて「遊び」を健全育成の主軸においているのは、たぶんに児童ケースワークにおける遊戯療法が念頭にあるのではないかと私は感じている。児童虐待や児童放棄の状況に置かれた子どもの場合は遊戯療法が有用であろう。しかしながら、昨今の恵まれすぎた状況におかれ、自己中心でわがままな子どもの増加、そして少子時代で子どもがあまりにも「優遇」されすぎた時代では、はたして遊戯療法が良いかは問題となるのではないかとここ1年くらい感じていた。
 児童ケースワークの中には遊戯療法だけではなく、作業療法もある。音楽療法・絵画療法・箱庭療法・運動療法もある。このように考えると今時の子ども達にはときに作業療法を提供することも必要ではないかと思うのである。

 不登校の子どもを受け入れる場合で考えてみよう。一般的に学校に行けない子どもを受け入れた場合に午前中は学習をさせることになる。この子どもに学習ではなくて遊ばせておけば、子どもは大人との対応に満足してなお学校に行かなくなるかもしれない。そこで草取り・ガラス磨き・清掃・後片付け・木の剪定・工作材料準備などの作業をさせる。作業の結果、いくら小さな子どもでも多少の成果をあげてくれる。そこで「頑張ってやったね」と褒めることになる。自尊心が高まり、子どもの中にエネルギーがたまるであろう。たんに遊ばせたり、学習したりだけであるならば、登校していた子どもから「ずるい」等の非難をあびることもある。でも作業であるならば「あなたも学校へ行かないで草取りをしたいならしてもいいよ」とこちらが居直ることも可能である。
 先週の土曜日(平成22424日)職員5名と児童80名・保護者8名ほどで自然科学館へ出かけた。私は留守番をしていたのですが、合唱部との活動で行けない女の子が4人ほどと遅刻をした等で残っていた男の子が8人と中学生が3人いた。私はお父さん達のボランティアを動員して、松の剪定をしていた。子ども達に剪定した松の木から葉をとって、ゴミ袋に詰めさせる作業をさせた。午前10時〜1130分までの作業で90リットルのゴミ袋に20袋も出た。そしてすっきりときれいになった。子ども達には褒めてあげてから揚げ君をプレゼントした。子ども達はとても喜び、「やったなあ」などと話していた。この場合に自然科学館へ遊びに行った子どもと残って作業をした子どもを比べた場合にどちらが自主性・社会性を高め、健康管理・安全管理・情緒の安定をし、活動への意欲と態度の形成になったかは甲乙付けがたいのである。私にはどちらかと言えば、残った子どもの方が社会に貢献できたとの自尊心を高めた分だけ得をしたのではないかと思うのである。

児童館・児童クラブの活動において「遊び」だけではなくて「作業」を取り入れるべきであると私は最近、強く感じるのである。子ども達は自分自身の存在が社会に役立っていると感じるときに、自信を付けていくものである。
 児童館・児童クラブの職員にとってみても、たんに子どもの遊び相手では地域の中でそんなに認められないであろう。子ども達と一緒に児童館・児童クラブの周囲やいつも遊びに行く公園のゴミ拾いや草取りをすれば、地域の方々もその存在を認めてくれるであろう。そんな風に私は考え始めています。


 これは私の私的な児童クラブ論である。しかしながら、30年に渡っての私の経験智によるものだ。実践的反論は期待するが、観念的な反論は勘弁していただきたいものだ。

関係法令

【児童福祉法】
(昭和二十二年十二月十二日法律第百六十四号)
第六条の二
2 この法律で、放課後児童健全育成事業とは、小学校に就学しているおおむね10歳未満の児童で
あつて、その保護者が労働等により昼間家庭にいないものに、政令で定める基準に従い、授業の終了
後に児童厚生施設等の施設を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図る事業
をいう。
第二十一条の八
市町村は、次条に規定する子育て支援事業に係る福祉サービスその他地域の実情に応じたきめ細かな福祉サービスが積極的に提供され、保護者が、その児童及び保護者の心身の状況、これらの者の置かれている環境その他の状況に応じて、当該児童を養育するために最も適切な支援が総合的に受けられるように、福祉サービスを提供する者又はこれに参画する者の活動の連携及び調整を図るようにすることその他の地域の実情に応じた体制の整備に努めなければならない。
第二十一条の九
市町村は、児童の健全な育成に資するため、その区域内において、放課後児童健全育成事業及び子育て短期支援事業並びに次に掲げる事業であつて主務省令で定めるもの(以下「子育て支援事業」という。)が着実に実施されるよう、必要な措置の実施に努めなければならない。
一児童及びその保護者又はその他の者の居宅において保護者の児童の養育を支援する事業
二保育所その他の施設において保護者の児童の養育を支援する事業
三地域の児童の養育に関する各般の問題につき、保護者からの相談に応じ、必要な情報の提供及
び助言を行う事業
第二十一条の十
市町村は、児童の健全な育成に資するため、地域の実情に応じた放課後児童健全育成事業を行うとともに、当該市町村以外の放課後児童健全育成事業を行う者との連携を図る等により、第六条の二
第二項に規定する児童の放課後児童健全育成事業の利用の促進に努めなければならない。
第二十一条の十一
市町村は、子育て支援事業に関し必要な情報の提供を行うとともに、保護者から求めがあつたときは、当該保護者の希望、その児童の養育の状況、当該児童に必要な支援の内容その他の事情を勘案し、当該保護者が最も適切な子育て支援事業の利用ができるよう、相談に応じ、必要な助言を行うものとする。
2 市町村は、前項の助言を受けた保護者から求めがあつた場合には、必要に応じて、子育て支援事業の利用についてあつせん又は調整を行うとともに、子育て支援事業を行う者に対し、当該保護者の利用の要請を行うものとする。
第二十一条の十五
国、都道府県及び市町村以外の子育て支援事業を行う者は、厚生労働省令で定めるところにより、その事業に関する事項を市町村長に届け出ることができる。
第二十一条の十六
国及び地方公共団体は、子育て支援事業を行う者に対して、情報の提供、相談その他の適当な援助をするように努めなければならない。
第二十一条の十七
国及び都道府県は、子育て支援事業を行う者が行う福祉サービスの質の向上のための措置を援助するための研究その他保護者の児童の養育を支援し、児童の福祉を増進するために必要な調査研究の推進に努めなければならない。
第三十四条の七
市町村、社会福祉法人その他の者は、社会福祉法の定めるところにより、放課後児童健全育成事業を行うことができる。
第四十九条
この法律で定めるもののほか、児童自立生活援助事業及び放課後児童健全育成事業並びに児童福祉施設の職員その他児童福祉施設に関し必要な事項は、命令で定める。
第五十六条の六
2 児童自立生活援助事業又は放課後児童健全育成事業を行う者及び児童福祉施設の設置者は、その事業を行い、又はその施設を運営するに当たつては、相互に連携を図りつつ、児童及びその家庭からの相談に応ずることその他の地域の実情に応じた積極的な支援を行うように努めなければならない。

【児童福祉法施行令
(昭和二十三年三月三十一日政令第七十四号)
第一条
児童福祉法(以下「法」という。)第六条の二第二項に規定する放課後児童健全育成事業は、これを利用する児童の健全な育成が図られるよう、衛生及び安全が確保された設備を備える等により、適切な遊び及び生活の場を与えて実施されなければならない。

【発達障害者支援法】
(平成十六年十二月十日法律第百六十七号)
(放課後児童健全育成事業の利用)
第九条
市町村は、放課後児童健全育成事業について、発達障害児の利用の機会の確保を図るため、適切
な配慮をするものとする。
【少子化社会対策基本法】
(平成十五年七月三十日法律第百三十三号)
(保育サービス等の充実)
第十一条
国及び地方公共団体は、子どもを養育する者の多様な需要に対応した良質な保育サービス等が提供されるよう、病児保育、低年齢児保育、休日保育、夜間保育、延長保育及び一時保育の充実、放課後児童健全育成事業等の拡充その他の保育等に係る体制の整備並びに保育サービスに係る情報の提供の促進に必要な施策を講ずるとともに、保育所、幼稚園その他の保育サービスを提供する施設の活用による子育てに関する情報の提供及び相談の実施その他の子育て支援が図られるよう必要な施策を講ずるものとする。

【社会福祉法】
(昭和二十六年三月二十九日法律第四十五号)
(定義)
第二条
この法律において「社会福祉事業」とは、第一種社会福祉事業及び第二種社会福祉事業をいう。
3 次に掲げる事業を第二種社会福祉事業とする。
二児童福祉法に規定する児童自立生活援助事業、放課後児童健全育成事業又は子育て短期支援事業、同法に規定する助産施設、保育所、児童厚生施設又は児童家庭支援センターを経営する事業及び児童の福祉の増進について相談に応ずる事業

放課後児童健全育成事業等実施要綱(抄)

T 放課後児童健全育成事業
1 趣旨
児童福祉法(昭和22年法律第164号。以下「法」という。)第6条の2第2項の規定に基づき、保護者が労働等により昼間家庭にいない小学校に就学しているおおむね10歳未満の児童に対し、授業の終了後等に小学校の余裕教室、児童館等を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図るものである。
2 実施主体
本事業の実施主体は、法第34条の7の規定に基づき、市町村(特別区を含む。以下同じ。)、社会福祉法人その他の者(以下「市町村等」という。)とする。
3 対象児童
本事業の対象児童は、法第6条の2第2項の規定に基づき、保護者が労働等により昼間家庭にいない小学校1〜3年に就学している児童であり、その他健全育成上指導を要する児童(特別支援学校の小学部の児童及び小学校4年生以上の児童)も加えることができるものであること(以下「放課後児童」という。)。
4 運営
本事業の運営は、次により行うものであること。
(1)本事業の実施に当たっては、遊びを主として放課後児童の健全育成を図る者(以下「放課後児童指導員」という。)を配置し、放課後児童を受け入れるものであること。
(2)放課後児童指導員の選任に当たっては、児童福祉施設最低基準(昭和23年厚生省令第63号)第38条に規定する児童の遊びを指導する者の資格を有する者が望ましいこと。
(3)本事業は、放課後児童の就学日数、地域の実情等を考慮し、年間250日以上開所すること。(ただし、平成21年度までは、特例として200日以上でも国庫補助の対象とする。)また、開所時間については、1日平均3時間以上とすること。ただし、長期休暇期間などについては、子どもの活動状況や保護者の就労状況等により、原則として1日8時間以上開所すること。
(4)本事業は、小学校の余裕教室や小学校敷地内の専用施設のほか、児童館、保育所や団地の集会室などの社会資源を活用して実施すること。なお、同じ建物内で、別添1に基づく放課後子ども教室推進事業(以下、「放課後子ども教室推進事業」という。)など、すべての子どもを対象とした活動拠点(居場所)の提供を併せて行う場合には、放課後児童のために間仕切り等で区切られた専用スペース又は専用部屋を設け、生活の場としての機能が十分確保されるよう留意すること。
(5)子どもの情緒の安定や事故防止を図る観点から、1クラブ当たりの放課後児童の人数が一定規模以上になった場合には、分割を行うなど適正な人数規模のクラブへの転換に努めること。(ただし、平成21年度までは、経過措置として1クラブ当たりの児童数が71人以上の場合も国庫補助の対象とする。)
(6)本事業は、法第6条の2第2項及び児童福祉法施行令(昭和23年政令第74号)第1条の規定に基づき、利用する放課後児童の健全な育成が図られるよう、衛生及び安全が確保された設備を備える等により実施されなければならないものであり、その活動に要する遊具、図書及び児童の所持品を収納するためのロッカーの他、生活の場として必要なカーペット、畳等を備えること。
(7)本事業の実施に当たっては、家庭や放課後子ども教室推進事業の担当者及び関係機関との連携を図ること。
(8)本事業の実施に当たっては、子どもの様子の変化や小学校の下校時刻の変更などに十分対応できるよう、小学校の教職員との間で迅速な情報交換ができる体制を整備すること。
(9)本事業の実施に当たっては、地域における放課後児童の状況を的確に把握するとともに、法第56条の6第2項の規定に基づき、本事業を行う他の者との相互連携、放課後児童及びその家庭からの相談等地域の実情に応じた積極的な支援を行うように努めなければならないこと。
(10)本事業の実施に当たっては、本事業の加入申込み等に係る書類について、所定の様式を定め整備すること。
(11)本事業の実施に当たっては、児童の安全管理、生活指導、遊びの指導等について、放課後児童指導員の計画的な研修を実施するものとし、また児童館に勤務する児童厚生員の研修や放課後子ども教室推進事業の担当者研修との連携を図ること。また、都道府県においても、同様に放課後児童指導員の計画的な研修を実施すること。
(12)市町村は、児童の保護者、児童委員、民間の児童健全育成ボランティア等の協力を得て本事業の支援に当たるものとすること。
(13)市町村は、法第21条の10の規定に基づき、放課後児童の本事業の利用に関する相談及び助言、地域の実情に応じた本事業の実施及び本事業を行う者との連携等により、放課後児童の本事業の利用の促進に努めなければならないこと。
5 事業の内容
本事業は、次の内容・機能を有するものとすること。
(1)放課後児童の健康管理、情緒の安定の確保
(2)出欠確認をはじめとする放課後児童の安全確認、活動中及び来所・帰宅時の安全確保
(3)放課後児童の活動状況の把握
(4)遊びの活動への意欲と態度の形成
(5)遊びを通しての自主性、社会性、創造性を培うこと
(6)連絡帳等を通じた家庭との日常的な連絡、情報交換の実施
(7)家庭や地域での遊びの環境づくりへの支援
(8)その他放課後児童の健全育成上必要な活動
6 留意事項
(1)本事業は、その目的を異にするスポーツクラブや塾等、その他公共性に欠けるものについては対象としないものであること。
(2)本事業の実施主体は、政治的又は宗教上の組織に属さないものであること。
7 費用
(1)国は、上記2〜6の要件を満たした次の事業(放課後児童が10人以上に限る。ただし、開設日数が200〜249日の場合は、放課後児童が20人以上に限る。)に対して、別に定めるところにより補助するものとする。
@ 市町村が実施する事業又は助成する事業に対して都道府県が補助する事業
A 指定都市及び中核市が実施する事業又は助成する事業
(2)市町村等は、本事業を実施するために必要な経費の一部を、保護者から徴収す
ることができるものとする。

U 放課後子ども環境整備事業(放課後児童クラブ未実施小学校区緊急解消等事業)
1 趣旨
新たに放課後児童健全育成事業を実施するための施設(放課後児童クラブ)を設置するため、既存の小学校の余裕教室等の改修等や必要な設備の整備などの環境整備を行うことにより、放課後児童クラブの設置促進等を図ることを目的とする。
2 実施主体
本事業の実施主体は、市町村(特別区を含む。以下同じ。)、社会福祉法人その他の者とする。
3 対象事業
(1)放課後児童クラブ設置促進事業
Tに基づく放課後児童健全育成事業(以下、「放課後児童健全育成事業」という。)を新たに実施するための施設の設置に必要な、小学校の余裕教室等の既存施設の改修、設備の設置や修繕、備品の購入を行う事業。
(2)放課後児童クラブ環境改善事業
放課後児童健全育成事業を新たに実施するための施設の設置に必要な、既存施設の改修を伴わない設備の整備(備品の購入等)のみを行う事業。
(3)放課後児童クラブ障害児受入促進事業
既存の放課後児童健全育成事業を実施する施設において、障害児を受け入れるために必要な改修、設備の設置や修繕、備品の購入を行う事業。
4 対象事業の制限
(1)他の国庫補助を受ける場合は、本事業の対象とはならないこと。
(2)既存の事業実施施設の破損や老朽化等に伴う改修や修繕は、本事業の対象とはならないこと。
(3)3の(1)及び(2)の事業については、1施設につき1回限りとすること。ただし、既存の放課後児童クラブを分割して、適正な人数規模のクラブとして実施する場合には、この限りでないこと。また、対象施設は、当該年度中または翌年度4月1日に事業を実施するもののみであること。
(4)3の(3)の事業については、受け入れる障害児の障害の種類や程度等によっては、同一施設において複数回、実施することも可能であること。また、対象施設は、当該年度中又は翌年度に障害児の受入を予定しているもののみであること。
5 費用
国は、次の事業に対して、別に定めるところにより補助するものとする。
(1)市町村が実施する事業又は助成する事業に対して都道府県が補助する事業
(2)指定都市及び中核市が実施する事業又は助成する事業

V 放課後児童クラブ支援事業
1 趣旨
放課後児童健全育成事業を実施するための施設(放課後児童クラブ)へのボランティアの派遣や放課後児童指導員の健康診断、障害児受入のための指導員の確保等を行うことにより、放課後児童クラブの円滑な事業実施に資するとともに、放課後子どもプランの推進を図ることを目的とする。
2 実施主体
本事業の実施主体は、市町村(特別区を含む。以下同じ。)等とする。
3 事業内容
実施主体は、次の何れかの事業を実施するものとする。
(1)ボランティア派遣事業
児童が地域の様々な人々と関わり合うことは、児童の成長・発達において重要であることから、市町村が、伝統的技術や自然体験の技術などを持つボランティアの登録名簿を作成し、以下の@〜Cの何れかの事業を実施するために放課後児童クラブへ派遣する。
@ 伝承遊び等事業お手玉、けん玉、あやとり、民謡、太鼓、囲碁、将棋、カルタ遊び、工作、折り紙などの遊びの指導を実施する事業。
A 自然等体験事業
田植え、畑づくり、地域のお祭りへの参加、草木や野鳥や昆虫などの自然観察などの体験活動を実施する事業。
B 巡回派遣事業
障害児と健常児の関わり合いなど、放課後児童クラブを行うに当たって配慮が必要な児童への生活指導等を行う放課後児童指導員に対する援助を実施する
事業。
C 長期休暇派遣事業
長期休暇期間において、利用時間が長くなることや一時的に利用する児童の増加などに配慮して生活指導等を行う放課後児童指導員に対する援助を実施する事業。
(2)放課後子どもプラン実施支援等事業
放課後児童クラブ未実施市町村に取組を促し、放課後子どもプランの円滑な策定・実施が図られるよう、以下の@〜Dの事業を実施する。
@ 人材確保のための研修等
新たに放課後児童指導員を希望する者等に対する研修の実施、研修受講者の名簿への掲載・登録、他自治体で実施しているクラブの見学・実習の実施
A 地区別運営委員会の設置・開催
各小学校区内での実施場所の選定・確保、具体的な連携方法や活動内容等を検討する運営委員会の設置・開催
B 広報啓発
「放課後子どもプラン」の実施に向けたリーフレットの作成などの広報活動
C その他
その他「放課後子どもプラン」の推進に資する取組
(3)放課後児童の衛生・安全対策事業
感染症罹患等の有無を発見するため、民営の放課後児童クラブに従事する放課後児童指導員に対する健康診断を行う。
(4)障害児受入推進事業
放課後児童クラブにおける障害児の受入れを推進するため、以下の@〜Bの何れかの方法により、障害児を受け入れるクラブにおいて、専門的知識等を有する指導員を配置する。
@ 市町村が専門的知識等を有する指導員を直接雇用し、放課後児童クラブに派遣して配置
A 放課後児童クラブが専門的知識等を有する指導員を雇用して配置し、当該費用を市町村が委託費として支出
B 放課後児童クラブが雇用した指導員について、市町村が一定期間内に必要な研修を受講させる、又は個々の指導員が有する経歴、資格等から専門的知識等を有すると市町村が認めた上で配置し、当該費用を市町村が助成(補助)
4 留意事項
(1)3の(1)の実施に当たって同じ小学校で放課後児童クラブと別添1に基づく放課後子ども教室推進事業を実施する場合は、ボランティアの効果的な活用を図ること。
(2)3の(3)の実施に当たっては、感染症等にかかる健康診断について既存の制度等を活用するなどして柔軟に実施すること。
(3)3の(4)の実施に当たっては、都道府県等が実施するWに基づく放課後児童指導員等資質向上事業を十分に活用するなどして、障害児対応を行う指導員の研修の機会を確保し、専門的知識や技術等の習得に努め、障害児の受入れの推進を図ること。
5 費用
国は、次の事業に対して、別に定めるところにより補助するものとする。
(1)市町村が実施する事業に対して都道府県が補助する事業又は助成する事業(3の(4)に限る。)
(2)指定都市及び中核市が実施する事業又は助成する事業(3の(4)に限る。)

W 放課後児童指導員等資質向上事業
1 趣旨
放課後児童指導員等に対して必要な知識及び技術の習得のための研修を行うことにより、指導員等の資質の向上及び放課後子どもプランの円滑な実施を図ることを目的
とする。
2 実施主体
本事業の実施主体は、都道府県、指定都市及び中核市とする。ただし、事業の全部又は一部について事業を実施するのに適した社会福祉法人、財団法人及び特定非営利活動法人等に委託することができるものとする。
3 研修対象者
(1)Tに基づく放課後児童健全育成事業を実施するための施設(放課後児童クラブ)に従事する放課後児童指導員及び放課後児童クラブの活動に関わるボランティアなど
(2)別添1に基づく放課後子ども教室推進事業(以下「放課後子ども教室推進事業」という。)の担当者及び事業が円滑に運営されるためにこれらの者と連携・協力を行う学校の教職員など
4 事業内容
児童の安全管理、生活指導、遊びの指導及び障害児など特に配慮が必要な児童に対する指導技術に関する研修、並びに放課後子どもプランの円滑な実施や実施に当たっての留意点等に関する研修を実施するものとする。
5 留意事項
(1)放課後子ども教室推進事業の担当者に対する研修を併せて実施する場合には、放課後子ども教室推進事業及び放課後児童クラブそれぞれの担当者又は指導員等が両研修を相互に受講できるよう連携を図るとともに、両研修内容の整合性や日程等にも配慮すること。
(2)放課後児童クラブにおける障害児の受入れを推進し、適切な対応を図るため、研修内容に必要な知識の習得や実践的な指導技術に関する援助方法を盛り込むなど、障害児対応指導員の資質の向上に努めること。
6 費用
都道府県、指定都市及び中核市が実施する事業に対して、国は別に定めるところにより補助するものとする。

平成20年5月1日現在放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況について
○放課後児童クラブ数は、898か所増加放課後児童クラブ数は、対前年898か所増の17,583か所となった。
○登録児童数は、4.5万人増加放課後児童クラブの登録児童数は、対前年4.5万人増の79万人となった。
○実施市町村の割合は、88.8%放課後児童クラブの実施市町村数は、1,609市町村となり、全市町村における実施割合は、対前年0.6ポイント増の88.8%となった。
○利用できなかった児童数は、933人減少利用の申込みをしたが何らかの理由で利用できなかった児童数は、対前年933人減の13,096人となった。


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