11月16日第3日曜日。平島公園の定例の環境整備日である。ケヤキの落ち葉集めの予定であった。90リットルの袋に50袋はありそうだ。11月2日・11月5日とたくさん集めたのにまだまだいっぱいの落ち葉だ。 同時に職場も忙しくて一日寝ていたい感じもある。天気予報は雨だが.雨なら中止で寝ていれる。朝の6時になった。まだ雨は降ってこない。それじゃあ準備を始めよう。布団を片付け、ボランティア終了後のおやつ(ジャガイモ・サツマイモ・ゆで卵)の準備を始める。ままならないのは天気である。準備を始めたとたん、雪下ろしの雷とともに雨が降ってきた。中止である。早く分かれば寝ていれたものを。
世の中には自分の思い通りに行かないことがたくさんある。昔は停電がよくあったし、アイスクリームやアイスキャンディーは夏のときだけ売りに来るものだった。それ以外にアイスキャンディーを食べるには氷点下の真冬に雪に塩を入れて自分で作るしかなかった。
電子レンジはなかったから、自分でジャガイモをむいてゆでて食べなければおやつがないこともあった。電話はなかったから、小学校まで電話を借りに行くことが多かった。昔はままならないことが多かったのである。
ところが最近は停電もなくなり、自家用車だから雨もあまり苦にならなくなった。食べ物はいつでも豊富に季節も関係ない。子どもたちも大人もままならぬことがなくなったかのような錯覚を生じ始めた。何でも自分の思い通りになるかのような錯覚である。3歳まで位ならなんとか親も子どものニーズに付き合ってあげられる。そこでわがまま放題に育ててしまう。しかも少子化第2期である。子どもの親じたいが一人っ子二人っ子である。子ども1人に両親2人・祖父母が4人・結婚していないおじさんおばさんが2人いると、子ども1人に大人が8人の時代がやってきたのである。当然我慢のできない低欲求不満耐性児童が急増することになる。
わがまま自己中心で育った子ども・自然の厳しさと豊かさを知らないで育った子どもたちは保育園や幼稚園の集団の中に入るとパニックってしまう。周りの子どもたちは身近な大人たちのように自分の思い通りには動いてくれないのである。そこで泣いたり喚いたり・奇異な行動をとったりする。しかし子どもの数より圧倒的に少ない大人で運営する保育園や幼稚園では一人の子どものいうことばかりをきいていることはできない。そこでますますエスカレートし、他の子どもに噛み付いたり暴力を振るうことになる。暴力を振るわれるほうも不登園を起こしたりと保育園・幼稚園でもクラス崩壊状況が起き始めているのである。
世の中にはままならぬことがたくさんあり、それを乗り越えて生きることが大切なことを小さいときから子どもに教えることが必要である。停電・食べ物がない・自然の猛威・闇といったままならぬことが少なくなってきた現代においてはそれがとくに必要であると私は考えている。仮に自然との関わりの中でままならぬことがないとしても、人間関係だけはままならぬものである。乳幼児のときからままならぬ人間関係のあることを学習させることが大切である。
ジャンケン遊びは大事です
上の写真は実習生と小学生が一緒にジャンケン遊びをしているところである。右の写真はジャンケンおまわりさんといって、ジャンケンをして負けると負けた相手の周りを一周しなければいけない。2回続けて負ければ2周・3連続負ければ3周するというものだ。ジャンケンだから自分の思いのままにはならない。小学生相手に負けてやろうと思っても負けてやるわけにはいかないし、勝ちたくても勝てないで我慢が必要となる。小学生も大きい専門学校の実習生のお馬に乗れて満足できる。でも負けて実習生を乗せなくてはいけないこともある。ジャンケン遊びは身近なスキンシップにもなるし、異年齢・異世代の平等なふれあいを通して思いのままにならないことを我慢することを通して楽しい人間関係を学ぶことができる。
グループを作ってのジャンケン遊びはもっと楽しい
最近の子どもは負けることが嫌いである。周りの大人がわがままにさせすぎたためにいつも自分がヒーロー・ヒロインでないと気がすまない。私は王子様王女様症候群ではないかと感じている。負けるのがイヤだからジャンケン遊びをしない子どもも出てくる。そこで3人から5人の組を作ってジャンケン遊びをしている。2人組・3人組(ツーパワー・スリーパワーもちろん5人組ファイブパワーもある)になってジャンケンゲームをすれば、負けても1人でないから、悔しさが半減し、プッツンしなくいで我慢ができるようになる。1人でプッツンすると周りが見えなくなり、泣いても喚いてもさほど恥ずかしいものではない。しかし2人だと仲間の泣く喚く行為は恥ずかしいことが自覚できる。仲間に「もうあきらめてもう人頑張りいしょう」といわれるとまたゲームを続けることができる。
ジャンケン遊びをツーパワー・スリーパワーで遊ぶことは我慢をできるだけでなく、友達とのスキンシップを深める要素も持っている。3人組を作って相手のグループとジャンケンをするときに同じジャンケンを出す必要があるので3人で相談する必要が出てくる。そのときに相手のグループに聞こえないようにみんなでこそこそ話をすることが必要となる。これが子ども同士のスキンシップに有効である。もちろん3人組でも5人組でもよいし、子どもだけでなくて異年齢・異世代が一緒でも良い。異年齢・異世代交流になるし、親子でグループを作れば親子のスキンシップになる。
グループを作るときは排他性を排除することはとても大切です。
最近の子どもはとてもわがままです。『3人から5人のグループを作りましょう』というと好きな仲間と一緒になろうとする。でも自分が好きでも相手が好いてくれるとは限らない。いつも除け者にされてしまう子どもがいるものです。除け者にされてイライラする子ども・除け者にされると思っているから最初からゲームに入ろうとしない子どももいます。
私はゲームを始める前に必ず「これから3人組〜5人組を作りますが、『寄せて』といったら『ノー』といってはいけない。」と強く言っておきます。これを寄せてにノーはないの原則と言っています。(寄せて=同じグループに入れての意味)このルールを守らない人はゲームへの参加資格を失うことになります。子どもたちにこの原則を守らせることによって、排他性のない民主的なグループ作りをするようにさせています。もちろんグループに入れてもらった挙句に自分勝手な行動をする子どももいます。そういう時はゲームをちょっとストップし、きちんとアドバイスし、さっと再開するようにしています。
「ともやん。仲間に入れてもらったのは良いけれど、自分ばかりがいつもジャンケンをきめているのはおかしい。そんな子は出て行け。なんちゃってね。みんなで相談しろよ。さあ再開。というようにやっている。これをちょきんさの原則といっている。これを繰り返すことで遊びのルールを貯金し、遊べるようになっていく。
ワン・ツーの原則
子どもにジャンケン遊びを伝えていてわかったことがある。それは子どもは二つまでしか話を聞かないことである。ですから伝えることは一つか二つにすることである。
「これからツーパワー・スリーパワー集団ジャンケンをしますが、3人から5人組を作ってください。このとき寄せてにノーはなしです。」
「グループ毎にグー・チョキ・パーの練習をします。グーはみんなで手をつないでグー。やってみましょう」
「チョキは手を離してチョキ。やってみましょう。」
「パーはみんなで手をつないだままパー。やってみましょう。」
「グループ毎に何をだすか相談して相手グループと戦いましょう。勝ったら1点です。負けても点数は減りません。あいこは握手して分かれましょう。双方点数なしです。」
途中でストップし、
「いい忘れたけれど、間違って出したときですが、勝ったほうが間違っていた場合はあいことなります。負けたほうが間違っていた場合は勝負は成立します・」
という具合にちょきんさの原則をうまく使って一つか二つづつ遊びのルールを伝えていくことが必要である。
ワンというのはモノが語源らしい。ツーはツインの二つである。でもスリーは実はスライス(たくさん)が語源ということらしい。子どもは
「これからスリーパワー集団ジャンケン遊びをやりますが、3人から5人の組を作ります。そして3人でグーはこうやり・チョキはこう・パーはこうです。グループ毎に相談してジャンケンをやります。勝ったら1点あいこは握手です。なお勝ったほうが間違って出したときはあいことなり、負けたほうがあいこのときは勝負は成立します。」
などと話しても誰も聞いていないのです。でもこうしたルール説明をしている児童厚生員・保育士・教諭ってけっこう多いものです。子どもに伝わるのはワン・ツーまでスリーはスライスでたくさんで子どもにはいやなのです。たくさんなのです。たくさんにはもうあきたという意味もありますからね。
私の長い文章を読んでいただいてありがとうございました。ちょっと長すぎました。
世の中にはままならないことが多いものです。ジャンケン遊びを通して我慢のできる子どもができるようにと思っています。