遊びの手法    ADHDの子どもとのふれあい    ホームトップ  詳細トップ  (2004年6月23日) 

                                                   児童健全育成指導士 田中 純一

 ADHD・アスペルガー症候群・広汎性発達障害・高機能自閉症等々耳慣れないと感じていた言葉が急激に一般化してきて、いろいろなところで聞かれるようになってきた。私の職場でも障害児学級に通学する児童も含め、ADHD・自閉症・広汎性発達障害などと診断されている子どもも増加してきた。共通する点は対人関係がうまく結ぶことができない・我慢ができない・多動である・新しい環境に適応できない・音等に敏感であるなどである。同時に「健常児」と言われる子どももちょっとしたことでカッとなる・物を安易に投げる・キックをする・噛み付く・気にいらないことがあるときめる・泣く・喚く・隠れて陰湿な意地悪をする等の子どもも増加しているように思う。同時にちょっとしたことでも過敏に反応してたいしたことでもないのに「いじめられた」と思う子どもも増えている。また同様に過敏に反応する親も増加している。こうした状況下で群れ遊びの復活のための手法を提案した。この提案とは別に、ADHD等対人関係をうまく結べず、ついつい他人を傷つけてしまいやすい子どもたちが増加している中で、その対処法も必要ではないかと考えた。そこですぐに切れやすい子ども(ADHD等)に対する対処療法を提案してみたい。
 
 すぐに切れやすく他人を傷つけてしまう子どもへの対処法1・ランニング
 仲間と山遊びの出かけた時のことである。1時間歩いて通常は赤コゴミがあるところはすでに雪が融けて何もなかった。そこでそれから崖を30分ほど登った。ウドやサワアザミがたくさん採れたがさすがにばてておしゃべりする気力もなくなってきた。そこで考えた多動でアグレッシブな子どももランニング等で発散させたらどうであろうk。

 楽しくランニング
 問題なのはランニングをいかに楽しくあたかも子どもの自由意志でやるように感じさせるかである。そこで職員が率先して走り、うまく子どもを誘導することにした。また万歩計を活用し、ズルをする子どもがないようにした。万歩計も「赤・青・白・黒」の色違いの万歩計を用意した。子どもたちが学校から帰ってくると「今日も元気に走る(このが大事)万歩計は何色がいい」と聞きます。子どもは色にだまされて「おれ赤」「おれ青」などと言います。これでもう万歩計をして走ることになるのです。小学校低学年の子どもたちは一人が万歩計をして走り始めるとみんな右ならいで走り始める特徴があります。そこで「素晴らしい。」「頑張っている。」「かっこいい」などとおだててやると頑張るものです。A子ちゃんは高学年で、わがままでやりたがらないことも多いのですが「みんなが走っているからがんばろう」と言えば走らないわけにもいかないことはわかるようでした。だまされだまされおよそ1000メートル(児童センターの建物の周りを10周)くらい走るようになりました。

  
  何色の万歩計がいいですか?           マイペースで頑張る                 ファイト・ファイト・ファイト

 子どもたちもランニングで発散できることによりケンカやぶつかり合いによる事故も減少してきました。
 

 ランニングにおける留意点
 当然走れない子ども・走るのが嫌いな子どももいます。走れない子どもを無理に走らせようとしないこと。走らない子どもを非難するような言動をさせないことなどに留意することが必要です。体力があり余って粗暴な行為をする子どもはその体力を良い方に向けるためにある程度強引にランニングをさせる必要性もあります。児童館・児童クラブを含めて現場は相反することをうまく調和させていくことが必要なものです。
 万歩計は100円ショップから買ってきました。電池代を入れ・消費税を入れて200円以内でした。安い費用で子どもの意欲を引き出す工夫を児童館・児童クラブの職員はする必要性があると思います。またランニングができる環境を作るために草取り・ごみ拾い・木の剪定・遊具の点検・建物の保守管理などの遊び場環境作りをきちんとすることが大切と思います。日ごろ職員が遊び場環境作りに努力をし、子どものために汗水をたらしていれば子どももそれを感じて多少の無理(ランニングしたくなくても大人に付き合ったあげるかといった無理)も聞いてくれるものです。

 遊べない子どもとは?
 子どもをしっかりunderstandしていて感じることは、注意欠陥症候群の子どもであれ、自閉症の子どもであれ、不登校の子どもであれ、切れやすい子どもであれ、みんなと仲良く遊べない子どもであれ、みんな他の子どもと仲良く遊びたいという強い欲求をもっていることにかわりはないことです。児童館・児童クラブにおけるケースワークというコーナーにも書いたのですが、逆に遊べない子どもというのはみんなと仲良くうまく遊びたい欲求が強すぎてうまく遊べていないことのほうが多いといえます。以下はそのコーナーに書いたもののコピーです。
 児童館・児童クラブではとくにこれをやらなければいけないということがありません。無理をしないで本人のしたいことが出るまでじっくり待ってやることが大事のようです。保育園の年中児〜小学校3年生位までの子どもは本能的に群れて遊ぶのことが好きな時代です。不登校の子どもはある意味ではあまりにもみんなとなかよく遊びたい欲求が強すぎて、他の人よりうまくやりたいと思いすぎ、そのギャップのために逆にみんなの中に入れないことが多いようです。あさらずに遊びの楽しさが感じるような仲間と遊びを用意してじっくり待てばあるとき遊び始めることが多いものです。そのためにはどんな子どもでも仲間にいれることのできる親和的な仲間作りを意図的にしておくことが必要と思います。
 ADHD・アスペルガ症候群・広汎性発達障害だけでなく、みんなとうまく遊ぶことのできない子どもが増加しています。児童館・児童クラブでは既存のやり方にとらわれないで様々な遊びを開発していくことが必要と考えています。ツーパワー・スリーパワーを使って負けることへのこだわりを減らす・参りましたジャンケン遊びなどのロールプレーを使った遊びを増やす・お馬さんジャンケン遊びなどでスキンシップを図る。名前のいらない遊びを増やすことで異年齢・異世代の交流を図ることなどを今までも提案してきました。これに加えて粗暴な行為をしやすい子どもたちに対して、直接的に体力を使って発散させて安定を図るというのも対処法としてうまく活用することも良いのではとの提案が今回の話です。

 万歩計を使った手つなぎオニごっこ
 手つなぎオニは子どもたちの好きな遊びです。子ども同士のスキンシップになるし、運動量も保障されます。ただ異年齢・異世代が一緒に手つなぎオニをやると体力が違うために衝突して事故等が起きやすいのが難点です。私は「歩き歩き手つなぎオニ」と称して走ってはいけない手つなぎオニをやることで、事故の可能性を低くする鬼ごっこをやってきました。しかし歩くのは衝動的な動きの好きな子どもはあまり好きではない。
 万歩計を購入したのことでこの歩き歩き手つなぎオニを発展させて「歩き歩き万歩計手つなぎオニ」にしました。子どもたちみんなに万歩計をつけさせて歩き歩き手つなぎオニをやるというものです。手つなぎオニと何歩歩くかを同時並行的に遊ぶというものです。

             
      こんな風に万歩計をみんなでつけます。          落ちないようにしっかりつけましょう。

            
      万歩計をつけてみんなで手つなぎオニの開始です。      逃げろ。 逃げろ。

            
      逃げるのに余裕の人も遊戯室の端で足踏みをしてカウントを稼ぎます。「俺は何歩かな?}
  
            
        いつもの手つなぎオニより動き回ったひと遊び。2000歩くらいはカウントしました。

 ADHD・注意欠陥症候群・アスペルガー症候群・自閉症・問題行動児等障害や問題行動をもつ子どものための遊びは実は「健常児」にとっても楽しく有意義な遊びです。これからも異年齢・異世代が一緒に遊べる遊びを子どもたちと仲間と考えていきたいと思っています。