『激闘、真冬の大決戦!!』

ガチャ
俺はドアを開けた。
空を見上げるとそこには澄みきった青空、まばゆいばかりの太陽。
気持ちのいいほどの良い天気だ。
そして地面に目を向けると………そこは一面の雪だった。
「寒っ…………」
俺は暖かい家の中へ振り返りドアを閉じた。
バタン
「…って唯人、いきなり帰らないでよ〜」
家の外から声がきこえた。
だが外は寒いので、とりあえず無視することにした。
「さてと、こたつでミカンでも食うかな」
俺は靴を脱ぎ家の中へ入ろうした。
その時、ドアが開き一人の少女が入ってきた。
「唯人、早くしないと約束の時間に遅れちゃうよ〜!!」
入ってきたのは、幼馴染の陽詩美だった。
「せっかく蘭ちゃんがさそってくれたんだから遅れたらわるいよ〜」
「いやだ、寒いから行かない」
「だめだよ〜」
陽詩美が家の中へ入ろうとする俺の袖をひっぱって行かせまいとする。
「こら、平野、早くしろ」
陽詩美とは違う声が聞こえた。
振り向くと、そこには永源寺先輩がいた。
「先輩も迎えに来てくれたんですか?」
「源にせっかくだから一緒に行こうと言われてな」
「あっ、そうなんですか」
「とにかく、早くいくぞ」
「は〜い」
俺は急いで外にでた。
後ろでは陽詩美がなんだか不満だった。
何はともあれ、俺たちは蘭との待ち合わせ場所へと向かった。
「ねえねえ、蘭ちゃん、無事に退院できて良かったね〜」
「そうだな。まっ、蘭なら殺しても死にそうにないけどな」
「でも、本当に良かった」
「けど、これで静かな学園生活も終わりだな〜」
「蘭ちゃんが来たから、また騒がしくなるね」
「その騒がしい学園生活の第一弾が今回の呼び出しなのかもな」
「そうだね、でも公園で何をするんだろう?」
「さあな。蘭のことだからどうせろくでもないことだと思うけどな」
そんな雑談をしているうちに、目的の公園が見えてきた。
「にはは〜、みなさん、ようこそ来て下さいました」
公園につくと周囲に蘭の声が響き渡った。
「どこだ!!」
俺は叫んだ。
「あっ、唯人、あそこ!!」
陽詩美が指を指した。
そこにはジャングルジムの上に仁王立ちしている蘭の姿があった。
「とうっ!!」
そして、蘭は掛け声とともにジャングルジムからジャンプした……と思ったが雪に滑ってそのまま地面に落下した。
「むぎゃ」
沈黙が周囲を支配した。
しばらくすると蘭は立ちあがり、衣服についた雪を払いのけると何事もなかったように笑顔で俺たちに近づいてきた。
「にはは〜」
俺は少し蘭が可哀想になり、あえて今のことはつっこまないことにした。
「ところで、蘭。こんなところに呼び出して何のようだ?」
俺の問いに、蘭はにやりと笑った。
そして、軽く深呼吸をすると大声で叫んだ。
「雪は何のためにあれーーーーー!!!!!」
「投げるためだーーーーーーーー!!!!!」
蘭の声に俺は思わず反応して叫んでしまった。
「と、いうことで今日は雪合戦大会をします」
「はっ?」
俺はおもわず言葉を失った。
だが蘭はちゃくちゃくと話しを進めていた。
「チーム分けは、私と実紀先輩、平野先輩と陽詩美先輩です。対戦方法は相手チームの陣地の旗を先にとった方の勝ちです」
「って、勝手に話しを進めるな」
「何を言っているんです。せっかく雪が積もっているんですよ。古来より『雪が積もったら雪合戦』ということわざまであるんですから」
「そんなことわざ、ない、ない」
俺は軽くツッコミをいれる。
「だいたい、何でお前が永源寺先輩とチームなんだ。卑怯じゃないか」
「なんでですか、平野先輩?」
蘭はホワイといった感じの顔をしている。
「そりゃ、もちろん永源寺先輩とドジの陽詩美とじゃ戦力差がありすぎるからに決まってるだろ」
そこまで言ったところで、俺はハッとして陽詩美の方を見た。
案の定、陽詩美はいじけていた。
「ドジっていった〜。いいもん、いいもん、どうせドジだもん。芋虫いじめてやる、えいっ、えいっ」
「こんなところに芋虫がいるか!!」
「むぃ〜〜〜」
「むぃ〜じゃない!!」
「じゃあ、頭なでて、なでて〜♪」
「チョッープ!!」
ビシッ!!
「シクシク……痛い……」
「まあまあ、お二人とも、そのチームワークで頑張ってください」
蘭は楽しそうに笑っていた。
「ちなみに勝利チームには豪華賞品が送られますので頑張ってください」
結局、雪合戦はそのチームわけでおこなわれることになった。
互いの陣地に簡単な雪のバリケード、そして多数の雪だまを作っていよいよ試合開始だ。
「陽詩美、お前は旗を守っていてくれ」
「うん、頑張ってね、唯人!!」
俺は敵陣地へと攻めこんでいった。
相手チームからは永源寺先輩がこちらに向かってきている。
どうやら蘭は守り役のようだ。
戦場中央付近で俺と永源寺先輩は対峙した。
「永源寺先輩、手加減はしませんよ」
「もちろんだ、平野」
永源寺先輩の言葉が終わると同時に、俺は手に持っていた雪だまを永源寺先輩に投げた。
しかし、それはすべてかわされてしまった。
「ちぃ!!」
俺は軽く舌打ちをした。
その間に永源寺先輩は地面の雪をすくって瞬時に氷だまを作った。
「ここで蘭ちゃんの説明コーナー!!氷だまとは、雪を高密度圧縮して作られた雪だまのことです。
破壊力は通常の雪だまの数倍以上。普通はじっくりと雪だまを固めないといけないので作るのに時間がかかるものですが、そこは実紀先輩!!
持ち前の瞬発力&握力で一瞬で作っちゃいました。以上、蘭ちゃんの説明コーナーでした。では本編の続きをどうぞ☆」
びゅん!!
永源寺先輩の手から強烈な一撃が放たれる。
俺は何とかそれをかわした。
すると、後ろの方で『バキッ』という音がした。
振り返ると、どうやら永源寺先輩の放った氷だまが木の枝に当たり、枝が折れたようだった。
俺は嫌な汗が流れるのを感じた。
「ちょ、ちょっと、永源寺先輩!!真面目にそれはヤバイですよ!!命にかかわりますよ!!」
「問答無用!!」
永源寺先輩は俺の言葉を無視して攻撃を繰り返した。
俺はその攻撃を死に物狂いでかわした。
当たったら骨の1本や2本は確実だろう。
しかし、このままかわしつづけるのも不可能だ。
なんとかしなくては真面目に入院生活になりそうだ。
俺は逃げながらも、必死で頭をフル回転させて考えた。
「そうだっ!!」
俺は地面にしゃがみこんで、とある物を作り始めた。
そんな俺に永源寺先輩が1歩1歩近づいてくる。
「どうした、平野。あきらめたのか?」
(い、急がないと……)
俺はあせった。
早くこれを完成させなければいけない。
その間にも永源寺先輩は俺に近づいてきて、やがて俺の真後ろで足音が止まった。
「これで終わりだ!!」
永源寺先輩が腕を振り上げる。
そして、殺人氷だまが放たれる瞬間………
「できた!!」
俺は叫んだ。永源寺先輩の動きも止まる。
「永源寺先輩、これをどうぞ!!」
俺はたった今完成したものを、永源寺先輩の前に差し出す。
すると永源寺先輩の表情が緩み笑みがこぼれた。
「うさぎちゃん♪」
そう、俺は雪のうさぎ、つまり雪うさぎを作っていたのだ。
そして油断した永源寺先輩に向かって、俺は叫んだ。
「カモーン、実紀ちゃ〜ん!!」
パチン
俺は指をならした。そして、永源寺先輩の顔を覗きこむ。
俺の顔を見る永源寺先輩の顔は笑顔だった。
「あーっ、唯人くんだ〜♪」
(よしっ、成功!!)
俺は心の中でガッツポーズをした。
「ね〜ね〜、唯人くん。遊ぼうよ〜♪」
実紀ちゃん化した永源寺先輩がせがんでくる。
「よし、それじゃあ、おままごとをしようか」
「うん、やるやる〜♪」
実紀ちゃんが無邪気に喜ぶ。
「じゃあ、最初は朝、パパが会社に出勤するところからね」
「うん♪」
「それじゃあ、実紀。いってきます」
「いってらっしゃい、あなた☆」
永源寺先輩には悪いけど、あとはこのまま蘭を撃破して旗を奪い取れば勝ちだ。
勝利を確信して俺は相手陣地に向かおうとした。
しかし、永源寺先輩に袖をつかまれた。
「なにかな、実紀?」
「お出かけ前のキスは?」
「えっ!?」
予定外のことに俺はあせった。
いや、いままでのパターンからすれば十分に考えられることだった。
しかもパターン的には、ここでキスをしようとすると永源寺先輩が元に戻って殴られるのが落ちのはず。
しばらく考えたあげく、俺は一つの結論に達した。
「それじゃあ、実紀、目を閉じて」
「は〜い」
永源寺先輩は素直に目を閉じた。
そして、その隙をついて俺は猛然とダッシュした。
(ごめん、実紀ちゃん)
俺は心の中で謝罪し、しかしそれでも振り返らずに旗を目指した。
そして、旗まであとわずかというところで、蘭が俺の前に立ちふさがった。
「実紀先輩を倒すなんて、平野先輩もやりますね」
「まあな」
「でも、ここを通すわけにはいきません!!いざ、尋常に勝負!!」
「ふっ、お前のようなチビッ子が俺に勝てるかな。怪我をしたくなかったら道をあけることだ」
しかし、蘭は余裕の表情だった。
「先輩こそおとなしく降参した方が身のためですよ♪」
蘭は笑みすら浮かべている。
(こいつ、何か秘策でも持っているのか)
俺は少し嫌な予感がした。
(いや、ここで弱気になっては蘭のおもうつぼだ。ここは勝負だ)
そう思いなおして、俺は蘭に向き直った。
「蘭、勝負だ!!」
俺を雪だまを構えた。
そこで俺の動きは止まった。
蘭の奴がとんでもないものを持っていたからだ。
それは、バズーカ砲だった。
「なんだ、そりゃ!!」
「にはは〜、バズーカ型水鉄砲を改良して作った、バズーカ型雪鉄砲です♪」
「なんだよ、雪鉄砲って?っていうか、卑怯だぞ!!」
「何を言われてもノープロブレム♪あっ、指が勝手に〜!!」
恒例のセリフとともに巨大な雪だまが俺に向かって発射された。
「ぐはっ!!」
その巨大雪だまをまともに受けた俺は激しい衝撃とともに数メートル後方へ吹き飛ばされた。
はっきりいって死ぬかと思った。
しかし、男のプライドにかけて簡単にやられるわけにはいかないのだ。
そう気合をいれ、俺はふらふらとたちあがった。
「今の一撃を受けて立ち上がれるとはさすが平野先輩ですね」
「ふっ、これくらい何ともないぜ」
俺は強がってみせた。
それを見た蘭の口元に再び笑みがこぼれた。
「あっ、指が痙攣〜♪」
また巨大雪だまが発射された。
「げほっ!!」
再び巨大雪だまを受けた俺は宙に舞った。
「やるならやらねば、もっといけ〜!!」
そんな俺に対して、蘭は空中コンボを狙って次々と雪だまを発射する。
そして、その雪だまは確実に俺にHITした。
俺の身体は木の葉のように空中を舞った。
ドサッ
蘭の連続発射が終わった後、俺は地面に倒れこんだ。
さすがに今度は立ちあがれなかった。
「にはは〜、平野先輩も頑張りましたけど、相手が悪かっですね♪」
そう言いつつ、蘭は俺の横を通りすぎ陽詩美のいる陣地へと向かっていく。
「陽詩美、逃げろ!!」
俺は叫んだ。
はっきりいって、陽詩美ではバズーカ型雪鉄砲を装備した蘭には勝てない。
せめて俺のようにボロ雑巾のようにされる前に逃げのびてほしかった。
しかし、俺の期待とは裏腹に陽詩美は逃げなかった。
「だめだよ、唯人。私が逃げたら、そこで負けちゃうよ」
1歩1歩、蘭が陽詩美に近づいていく。
そして、とうとう陽詩美が蘭の射程内に入ってしまった。
「陽詩美先輩、覚悟はいいですか?」
蘭がバズーカ型雪鉄砲を構える。
「お願い、春華、私に力を貸して…」
陽詩美は祈った。
すると、陽詩美の後ろに人影が現れたような気がした。
俺は目を凝らしてみた。
それはなんと春華ちゃんだった。
「お姉ちゃん、いくわよ!!」
「OK、春華!!」
そして陽詩美が雪だまをかまえた。
春華ちゃんも陽詩美の持つ雪だまに手を合わせる。
「必殺、源姉妹ツインアタック!!」
ビシュ!!
陽詩美の手から雪だまが放たれた。
しかし、それはなんの変哲もない棒だまだった。
特にスピードが速いわけでもなし、かといって威力があるようなたまでもない。
蘭もそれを見きって余裕だった。
「にはは〜、そんな雪だまくらいませんよ〜♪」
と、その時であった。
陽詩美のはなった雪だまが突如ゆれ始めた。
次第にゆれは大きくなり、それはまるで雪だまがいくつにも分身したかのようだった。
「ツ、ツインシュート!?」
雪だまはさらにゆれて蘭を襲う。
蘭は、雪だまのゆれに翻弄されてかわせずに当たってしまった。
「わぷっ!!」
陽詩美はチャンスとばかりに、雪だまをどんどん投げる。
「わぷっ、わぷっ、わぷぷっ!!」
それはすべて蘭に的中した。
(勝てる!!)
俺は心の中で呟いた。
しかし、その俺の考えは次の瞬間打ち砕かれた。
蘭が最終兵器を取り出したのだ。
「陽詩美先輩、まさかこれを使うときがくるとは思っていませんでしたよ」
蘭が取り出したもの、それはコ○ニーレー○ー型雪鉄砲(あえて伏字)だった。
って言うか、そんなものどこに持っていたんだ?
いやいや、そんなことを考えている場合ではなかったのだ。
「ひるむな、陽詩美!!」
俺は陽詩美に激をいれた。
「うん、わかったよ、唯人。私、頑張る!!」
陽詩美は気合を入れなおして、再び春華ちゃんと一緒に雪だまをかまえる。
「え〜い!!」
陽詩美が雪だまを放つ。
そして、雪だまは大きくゆれて分身した。
しかし、蘭はそれをかわそうとはせずに、例の極悪雪鉄砲をかまえた。
「陽詩美先輩、そのような攻撃はこの大質量の雪の前では無力なのです!!」
そして蘭がトリガーを引く。
「ファイヤーーー!!」
次の瞬間、まるで雪崩のような大量の雪が発射された。
陽詩美の放った雪だまも、その大量の雪に飲み込まれてしまった。
「ゆ、唯人〜!!」
「陽詩美〜!!」
ちゅど〜〜ん!!
大量の雪は無情に陽詩美に直撃した。
あまりの衝撃に周囲を雪が舞い散る。
「くっ、前が見えない。陽詩美はどうなったんだ?」
やがて雪煙がはれた。
陽詩美のいた場所には1体の雪だるまができていた。
「陽詩美、無念だったろうな…」
一方、蘭は勝利を確信したように1歩1歩、旗へ向かって歩いている。
(もう、だめか…)
俺は敗北を決意した。
しかし、ふとあることをひらめいた。
これは旗をとった方が勝ちなのだ。
そして、蘭の陣地には誰もいない。
つまり、俺が蘭より早く旗をGETすれば俺の勝利なのだ。
そのことに気がついた俺はすばやく立ちあがり、蘭の陣地の旗に向かって走り出した。
「平野先輩、まだ動けたんですか!?」
俺の行動に気がついた蘭も急いで旗に向かって走り出した。
蘭と俺、両者とも旗までの距離はあとわずかだった。
「うおおおおーーーー!!!!」
俺は旗に向かって飛びついた。
「とおおおおーーーー!!!!」
蘭も旗に向かって飛びついた。
ズシャアーーーー!!!!
両者とも飛びついた勢いで地面に滑り込む。
ガシッ!!
そして、俺の手には蘭チームの旗が握られた。
しかし、蘭の手には俺のチームの旗がなかった。
あと数センチだったが、蘭の手が届かなかったのだ。
「ふっ、最後の最後でチビッ子の俺の身長差が勝負を決めたようだな」
「むかぴ〜、あと少しだったのに〜!!これは勝負に勝って試合に負けたってやつですよ、先輩!!」
「ぬははははは、何をいっても負け犬の遠吠えだ♪」
蘭は相当悔しかったのか地団太を踏んでいる。
「さあ、蘭。俺が勝ったんだから賞品を渡してもらおうか」
「う〜、仕方ないですねぇ。それじゃあ、平野先輩、手をだしてください」
「こうか?」
俺は蘭に言われたとおりに手をだした。
その瞬間、蘭を大声で叫んだ。
「ラミネートチューブ!!」
蘭の持っていたカドミウムレッドの絵の具が俺の手を襲う。
俺はとっさに出していた手を引いた。
絵の具は目標を失い、地面へと落ちていく。
「蘭、お前なにするんだ!!」
「にはは〜、冗談ですよ、平野先輩☆」
蘭が悪びれた様子もなく笑った。
「冗談もなにも、俺がよけなかったら手が絵の具まみれになってたぞ」
ぶつぶつ文句を言う俺の首に、ふいに暖かいものが巻かれた。
それはマフラーだった。
「にはは〜、それが本当の豪華賞品です。入院中、暇だったので編んでみました♪」
「ってことはこれ、蘭の手編みか?」
「はい」
蘭がちょっぴり照れたように答えた。
「初めて編んだからちょっとボロボロかもしれないけど………」
「いいや、そんなことねえよ。上手だと思うぜ。それに、すげえあったかいし」
俺の言葉を聞いた蘭が満面の笑みで微笑んだ。
「そ、そんな、誉めたってもう何もでませんよ」
そして照れながらも嬉しそうだった。
そんな蘭を見ながら俺は改めて憂いやつと思ってしまった。
「それじゃあ、平野先輩。この後、引き続きどこかに遊びに行きましょうか♪」
「そうだな、それじゃあカラオケでも行ってパーッと歌うか」
「にはは〜、いいですね〜。この橘画伯の華麗な歌声をきかせてあげますよ」
「蘭こそ、俺の美声に酔いしれるなよ」
俺たちは公園を後にして街中へと歩いていった。
一方、公園では1人の人影と、1つの雪だるまが残されたのだった。
「唯人くん、お出かけのキスはまだ〜?目、開けちゃうよ?」
「しくしく……寒い……」
後日、唯人が2人にボロボロにされたのは言うまでもない。