宇宙に浮かぶエンジェルベース。
いつも騒動の絶えないこの基地で、今日も今日とて騒動の火種がまさに点火されようとしていた。
その場所とは、エンジェル隊の1人である少女の部屋にある金庫の中。
金庫という時点でお気づきかもしれないが、ミント・ブラマンシュの部屋である。
「るんらら〜♪」
ミントは、金庫の中でご自慢の気ぐるみコレクションを物色していた。
「う〜ん、明日のこみパには何を着ていきましょうか?」
ミントはそう言いながら、着ぐるみを手にとっては鏡の前に立ち自分の姿を確認していた。
「定番のクックちゃんも捨てがたいですし、ヘモヘモちゃんも可愛いですわ」
ミントは軽くため息をつく。
だが、それは落胆のため息ではなく、歓喜のため息だった。
「ああ、明日のこみパ、待ち遠しいですわ」
ミントは以前の任務でこみパ会場に行って以来、コスプレスペースで着ぐるみを着ることが1番の楽しみになっていたのだった。
もちろん、他のエンジェル隊員には内緒である。
もし、ばれようものならエンジェル隊全員を抹殺しなけらばならない、とミントは考えていた。
ミントはその後も数時間悩んだすえに、一体の着ぐるみを手に取った。
「やっぱり、今回はこのシャックンの着ぐるみにいたしますわ!!」
そして着ぐるみをバッグにしまいこんで、意気揚揚と金庫を後にした。
このとき、ミントは自分の身に振りかかる不幸など知る良しもなかったのである。

こみパ当日、ミントはコスプレスペースにいた。
もちろん、悩んだ末に決定したシャックンの着ぐるみを着用してである。
そんな着ぐるみを着たミントの表情は、まさに天国にいるかのような笑顔であった。
「ああ〜、すばらしいですわ〜♪このフィット感、そして弾力、思ったとおりナイス着ぐるみですわ」
そう言いながら、ミントはモデルのように軽くその場でクルリと回ってみせた。
「それにしても、こんなに堂々と着ぐるみを堪能できるなんて、やっぱりこみパってすばらしいですわ」
ミントがうっとりしていると、遠くから駆け寄ってくる人影があった。
「お〜い、ミント〜!!」
ミントは声のする方向へ振り向く。
すると、このコスプレスペースで知り合った友達の芳賀玲子がこちら向かってきていた。
コスプレ好きの彼女とミントは、衣装に対するこだわり、ポリシーなど波長が合い、いつしか友達になったのである。
「あら、玲子さん、こんにちは。今日も格好良く決まっていますわ♪」
「ありがと〜。ミントの気ぐるみも斬新なデザインで良い感じだよ♪」
互いにそれぞれの衣装を誉めあい、しばらく他愛もないお喋りをかわした。
しばらくすると、カメコから玲子に写真の要望があり玲子も快くそれを承諾した。
「それじゃあ、ミント。またあとでね〜♪」
玲子はミントに手を振り、その場を後にした。
「ふぅ、それではわたくしは会場を一回りしてみましょうか」
ミントがその場を立ち去ろうとしたときであった。
その瞳の先にミントはとある物体を発見したのである。
「あ、あれは、まさか…」
ミントは猛ダッシュで、その物体に近づいた。
そして、それはまさにミントが思っていたものだった。
それはもちろん着ぐるみである。
「こ、これは…まさか現存していたなんて…」
ミントが震える手でつかむ着ぐるみは、一見すると単なるヘモヘモの着ぐるみだった。
しかし、それが単なるヘモヘモの着ぐるみでないことはミントの様子をみても明白だった。
「これは、かつてトランスバール皇国で劇場版カードマスターピーチが放映されたときに記念として限定3体のみ作成されたDXヘモヘモの着ぐるみ!!」
ミントは、そう言いつつ着ぐるみの細かいところまでチェックしていた。
「生地には本物の虎皮を使用、歯は象牙、そして瞳にはクリスタルを使用…まさしく本物ですわ。けど着ぐるみマニアの間でも幻の作品であるこの着ぐるみが、何故こんなところに?」
着ぐるみを手にしつつ、ミントはしばらく考え込んだ。
「もしかして、またワナ?」
ミントは周囲を見回す。
以前に任務で、この会場を訪れたときにミントは着ぐるみを餌にした巧妙なワナにかかったことを思い出した。
しかし、会場内を見まわしても特に不信な様子はない。
「考えすぎですわね。腹白い姉妹は以前に壊滅しましたし、それに今回は任務ではなくプライベートで来てるんですもの。ワナのわけありませんわ」
さらにミントはまるで自分を納得させるかのように言葉を続けた。
「まぁ、ワナじゃないにしても、こんなところに着ぐるみがあるのは不自然ですわ。何かあるといけませんし、任務時間外ですけどエンジェル隊として皆様の安全をお守りするために、わたくしが試着してみるのが1番ですわ」
数分後…ヘモヘモの着ぐるみを着たミントが再びコスプレスペースに姿をあらわした。
スペースに戻ってきたときのミントの表情は、まさに我が生涯に一片の悔いなし、といった感じだった。
「こ、これは予想以上にすばらしい出来ですわ。着ぐるみなのに、最高級の毛皮のコートを着ているような…それでいて下手に蒸し暑くなく、そして軽い…こんな着ぐるみ初めてですわ」
ミントは感動のあまり、その場でくるくると踊り始めた。
その時であった、会場内に緊急放送が響き渡った。
「準備会からの連絡です。先ほど、この会場内にロストテクノロジーが発見されたという情報がはいりました」
「まあ、それは大変ですわ」
放送を聞きながらミントが呟く。
「情報によりますと、そのロストテクノロジーは着衣タイプのものだそうです。皆様、見なれないコスプレ衣装、もしくは着ぐるみなど身につけないようにご注意ください」
「えっ……ひょっとして……」
ミントは自分の身につけているヘモヘモの着ぐるみに目をやった。
「まさか……そんなはずありませんわ。おほほほほ」
自分の着てしまったヘモヘモの着ぐるみがひょっとしたらロストテクノロジーかも、と疑問を持ったミントだが違うと自分に言い聞かせるように笑ってごまかすことにした。
万が一、この着ぐるみがロストテクノロジーだとすると、せっかく手にいれて貴重な着ぐるみを軍に渡さなくてはいけなくなるからである。
だがそんなミントの考えを打ち砕くように、再び館内に放送が流れた。
「今、はいった情報によりますと、そのロストテクノロジーはカードマスターピーチのヘモヘモの着ぐるみと同じ形状だそうです」
「って、思いっきりこれのことですわー!!」
ミントはおもわず叫んでしまった。
幻の着ぐるみと思っていたものが、まさかロストテクノロジーだったなんて…、ミントがそんなことを考えていると再び放送が流れた。
「さらに最新情報によりますと、そのロストテクノロジーは周囲に萌え電波を発生させる、つまり周囲の人間は、その着ぐるみを着ている人間に萌えてしまうという効果があるようです」
「な、なんですって〜!!」
ミントはあせった。
もし、騒ぎが大きくなって自分がこみパに来て着ぐるみを堪能していることがエンジェル隊にばれたら厄介なことになる。
一刻も早くこの着ぐるみを脱いで撤退する必要があった。
「ぬ、脱げませんわ〜」
ミントは必至に着ぐるみを脱ごうとするが、まるでミントの身体の一部になったかのように気ぐるみはジャストフィットしていた。
ドン
着ぐるみを脱ごうと必至になっていたミントは、足がよろけて隣に立っていた人にぶつかってしまった。
「ご、ごめんなさい」
ミントは振り向き、そのぶつかった相手に謝った。
その瞬間、ミントは身の毛もよだる思いに襲われた。
ぶつかった相手は目の焦点があっておらず、何やらブツブツと独り言を呟いていた。
「萌え〜、萌え〜」
ミントはあわてて周囲を見まわした。
先ほどまでは着ぐるみを脱ぐために必至で気がつかなかったが周囲の人間は全員、先ほどぶつかった相手と同様に様子がおかしかった。
やがてコスプレスペースにいた人間全員が、まるでゾンビのように「萌え、萌え」言いながらミントに群がってきた。
「ちょ、ちょっと、皆さん、落ち着いて。話せばわかりますわ…」
萌えゾンビと化した人々がミントに襲いかかろうとしたとき、どこからともなく衝撃波が飛んできて萌えゾンビついでにミントも吹き飛ばした。
「きゃあーーーーー!!一体、何なんですのーー!!」
ミントの叫び声がコスプレスペースに響き渡った。
数メートル吹き飛ばされたミントは、よろよろと立ちあがる。
「いまのは何事ですの……?」
ミントがブツブツ言いながら、着ぐるみについた砂埃をはらっていると遠くから声が聞こえてきた。
「こみパの平和が乱れるとき、正義の力が大集結!!こみパイエロー、只今参上!!」
「おなじく、こみパグリーン、ちょお参上!!」
ミントが声のする方を向くと、そこには知った顔の2人がいた。
「あなたたちは、猪名川由宇さんに大庭詠美さん!!」
「よっ、ミントはん、ひさしぶりやな」
由宇が手を軽く振り、ミントに挨拶する。
一方、ミントはチャンスとばかりに由宇に助けを求めようとした。
「あの、猪名川さん。実は…」
「大体の事情はわかってる。あとは、うちにまかせとき」
ミントのセリフを途中でさえぎり、由宇が話しを続けた。
「この炎のGペンで、その着ぐるみを破壊してやるわ」
そう言うと、由宇は手に持っていたGペンを壁に叩きつけた。
すると壁はまるで豆腐のようにあっさりと崩れ落ちた。
「何言ってるのよ、パンダ。ここは詠美ちゃん様の神のGペンにまかせなさい」
今度は詠美が手に持ったGペンで柱を切りつけた。
Gペンで切りつけられた柱は、まるで大根のように綺麗な輪切りになった。
「………ダッシュ!!」
その様子を見ていたミントは、突然ダッシュで逃げ始めた。
「あっ、ミントはん、どこいくんや!!」
「ちょっと、待ちなさいよ〜!!」
由宇と詠美が呼びとめるが、ミントは無視して走りつづけた。
「冗談じゃありませんわ。あんなのを受けたら着ぐるみどころか、わたくしまで木っ端微塵になってしまいますわ」
ミントはそう言いながら後ろの様子を確認した。
そこには、すでに由宇と詠美の姿はなかった。
「?」
ミントは2人がどこに消えたのか不思議に思ったが、次の瞬間にはそれは判明した。
「遅いなぁ、ミントはん」
「ちょおノロマってかんじ〜♪」
何時の間にか由宇と詠美は、全力で逃げていたミントに追いついていたのだ。
そして、そのまま2人のGペンはミントに向かって放たれた。
「ああ、短い人生でしたわ。わたくしの美少女人生もおしまいですのね…」
ミントは覚悟を決めて目を閉じた。
しかし、いつまでたってもGペンによる攻撃はやってこなかった。
おかしいと思ってミントが目をあけると、由宇と詠美はGペンを持ったままプルプルと振るえていた。
「うちは……うちは…うちはバカや。こんな萌えッ娘を攻撃しようとするやなんて!!」
「ふみゅん、悔しいけど、この詠美ちゃん様以上の器だわ!!」
どうやら例の萌え電波が由宇と詠美に効いたようである。
そして2人は、そのままミントに忠誠を誓ったのあった。
「ジークミント!!ジークミント!!」

ところ変わって、こみパ準備会兼、こみレンジャー本部の部屋。
コスプレスペースの様子をモニターで見つめる人影がいた。
こみレンジャーの総司令、牧村南と参謀の九品仏大志である。
「由宇ちゃんたちまで……」
モニターで由宇たちの様子を見守っていた南がポツリと呟く。
そこへドアを開けて数人の男女が部屋にはいってきた。
こみレンジャーの残りメンバーである千堂和樹・高瀬瑞希・御影すばるであった。
「様子はどうですか、南さん?」
和樹の問いに、南は首を横に振る。
「由宇ちゃんと詠美ちゃんが堕ちました…」
「そ、そんな、あの由宇と詠美が!!」
南の答えに、さすがの和樹も動揺を隠せなかった。
「さすがはロストテクノロジー。一筋縄ではいかん、というわけか」
大志が苦々しげに呟く。
「そうですね、ここまで強力な萌えエネルギーを発するとは予想以上でした」
そう言って南は再びモニターに目をやった。
そこには先ほど見ていたときより、さらに多くの人間がミント萌えとして集結していた。
「それにこの萌えの繁殖のスピードは予想以上に早いみたいですね。早急になんとか……」
突然、南の話しが途切れた。
「どうしたんです、南さん?」
「も、萌え〜☆」
「えっ?」
「ちぃ!!」
大志がすばやく南の首筋に手とうをいれる。
南はそのまま地面に崩れ落ちた。
「同士和樹!!急いでモニターを消すのだ!!」
「お、おう」
和樹は大志に言われるとおり、いそいでモニターの電源を落とした。
「大志さん、ひょっとして…」
すばるが大志に目でうったえかける。
「うむ、どうやら例の萌え電波はモニターを通しても影響が出るらしい。しかし、これは厄介なことになったな」
「どういうことだ、大志?」
「モニターを使えない以上、相手の様子すら把握できなくなったしまった。迂闊に動けなくなってしまったということだ」
「そうね、それにこうしている間にも相手の数はどんどん増えてるみたいだしね」
瑞希がさらに不安要素をつけくわえる。
部屋の中に絶望的な空気が流れた。
しかし、そんな重い空気を吹き飛ばすようにすばるの声が響いた。
「大丈夫ですの。正義は最後に必ず勝つですの!!」
「でも、一体どうすれば…」
「短期決戦。全員で一気に突入して目標を撃破するですの!!」
「そんな無茶な…」
「いや、無茶ではないぞ!!」
すばるの意見に大志が賛成する。
「現状では御影女史の作戦が1番成功率が高い。そしてこの作戦の中心となるべく人物はマイシスターこと同士瑞希!!お前しかいない!!」
「えーっ、なんであたしが!?」
突然の指名に瑞希は驚いた。
「うむ、説明するとだな、あのロストテクノロジーは相手の萌え心を増幅するというものだ。つまりは萌えやすい我輩たちより、萌えに否定的なマイシスターの方が免疫力がつよく多少ではあるが支配されにくいはずなのだ」
「なるほどですの〜、それじゃあ、早速いきますですの〜!!」
すばるが瑞希の手をひっぱる。
「えっ、あの、ちょっと…まだ心の準備が…」
「ええい、同士瑞希よ。さきほど短期決戦と言ったではないか。時間がないのだ、時間が!!」
大志も瑞希の背中を押して強引に連れ出した。
そして場所は再びコスプレスペース。
ミントを中心に数千・数万人の萌えゾンビが集結している。
その様子を和樹たちは入口で伺っていた。
「では作戦を発表する。同士和樹・御影女史、そして我輩が雑魚どもを足止めする。その間に同士瑞希がロストテクノロジーを破壊する。以上!!」
「了解ですの!!」
「ちなみに、それぞれ己の萌えを見失わないようにお守りを所持すること!!ちなみに我輩は、あさひちゃんの写真集!!」
「すばるはクルーガーのキーホルダーですの」
「俺はピーチの抱き枕!!」
「何、持ってきているのよ!!」
バキッ!!
瑞希のツッコミが和樹に炸裂する。
そのまま和樹は倒れこんでしまった。
どうやら会心の一撃だったらしく、血を流してしばらく起きそうもなかった。
「同士瑞希よ。ただでさえ少ない戦力を、さらに少なくしてどうする!!」
「ご、ごめん…つい…」
「まあ、仕方がない。我輩たちだけでなんとかするしかあるまい。行くぞ!!」
こうして最終決戦の幕は開いたのであった。
猛スピードで中心点に向かう3人に、萌えゾンビの群れが襲いかかる。
「邪魔ですの!!大影流奥義、地竜走破ですのー!!」
すばるの放った一撃で数千人の萌えゾンビが吹き飛ぶ。
「いいぞ、御影女史!!この調子で一気に行くぞ!!」
大志たちがスピードを上げる。
そこへ他の萌えゾンビとは明らかに動きが違う人影が大志たちに向かってきた。
「あ、あれは猪名川さんに大庭さん!!」
瑞希が言ったとおり、その人影は由宇と詠美だった。
「うちの萌えのためにも、ここは通さへんで!!」
2人ともGペンを片手に襲いかかってきた。
「くぅ!!」
その攻撃を大志たちは、かろうじてかわした。
「目をさませ、お前たちは萌えはあんな機械に操られるほどの軟弱なものだったのか!!」
大志は大声を張り上げ、由宇たちの説得を試みた。
「ちょおちょおちょおうるさい〜!!この詠美ちゃん様の萌えにケチをつけようっていうの。ちょおなまいき〜!!」
しかし大志の魂の叫びは届かず、由宇たちの攻撃はやむことはなかった。
「仕方ない…同士瑞希よ、ここは我輩と御影女史が食い止める。あとは頼んだぞ!!」
「う、うん、わかったわ!!」
瑞希は再びミントに向かって駆け出した。
「逃がすかい!!」
由宇が瑞希に襲いかかる。
「大影流裏奥義、連華双龍掌!!」
すばるの一撃が由宇を吹き飛ばす。
「瑞希さん、頑張ってくださいですのー!!」
「ありがとう、御影さん!!」
そのまま瑞希は、雑魚萌えゾンビを蹴散らし突き進んだ。
ミントまでは、あとわずかである。
途中で後ろを振り返ると、大きな爆発音とともに柱が崩れ去るのが見えた。
おそらく大志たちであろう。
「………人間ばなれしすぎね、あの人たち…」
瑞希はややあきれながら呟いた。
やがて瑞希はミントの姿を射程範囲に捕らえた。
「もらったー!!」
ジャンプで一気に距離をつめて襲いかかる。
しかし、瑞希の一撃もミントを捕らえることはできなかった。
由宇たち同様、寸前で攻撃を止めてしまったのである。
「ヘモヘモ〜♪」
瑞希はミントを抱きしめた。
通常の萌えは否定的な瑞希だがヘモヘモだけは例外であったのだ。
そしてミントはヘモヘモの着ぐるみをきている。
つまり大志の読みははずれ、瑞希が1番抵抗力がなかったのである。
「ええい、同士瑞希は何をしている!!」
由宇たちとの戦闘を繰り広げながら大志は叫ぶ。
「早くしてくれないと………すばるも意識が遠のいてきましたの…」
「御影女史、しっかりするのだ………うぅ…我輩も限界が近づいてきたか…」
萌え電波の充満するコスプレスペースで、さすがの大志たちの抵抗も限界が近づいていた。
「こ、ここまでか…」
大志たちが観念したその時であった。
ドッカーン!!
巨大な爆発音とともに、コスプレスペースの天井に大きな穴があいた。
「あ、あれは……ギャラクシーエンジェル隊ですの!!」
すばるの言うとおり、穴から上空を見るとエンジェル隊の紋章機が見えた。
「またせたな!!」
思わず『兄貴』と呼びたくなる声、フォルテの声だった。
「強制転送ビーム改発射〜♪」
能天気な脱力してしまいそうな声、ミルフィーユの声だった。
「ちなみにかつて分裂を繰り返すロストテクノロジーに使用した転送ビームを改造して、相手の衣服のみを転送するようにしました」
説明的な声、ヴァニラの声だった。
「さ〜あ、どんどん脱がすわよー!!」
活発でやる気満々な声、蘭花の声だった。
そして紋章機から発射されたビームは、ヴァニラの解説どおり次々と人々の服を脱がせていった。
やがてミントもビームをあび、着ていた着ぐるみはエンジェル隊に回収されてしまった。
「よし、ロストテクノロジーの回収完了!!帰還するよ!!」
フォルテのエンジェル隊はそのまま帰っていった。
そして、こみパ会場にはすっかり衣服を転送されて裸になった人々だけが取り残された。
「ふみゅ〜ん、なんでなんでなんで裸なわけ〜!!」
「ほう〜、こら壮大な景色やな〜」
「ぱぎゅう〜、恥ずかしいですの〜」
「ふふっ、我輩の肉体美、とくと見るがいい!!」
「こらーっ、和樹。ジロジロ見るんじゃない!!」
バキッ!!
「ぐはぁ!!」
和樹、再び死亡。
こうして、おいしいところを全てギャラクシーエンジェル隊に持っていかれて事件は解決したのであった。


「………わたくし、後半にセリフがありませんわ……一応、メインなのに…(byミント)」