それいけ!あさひちゃん!!

 

とうとうこの日がやってきた・・・

月に一度のこの日・・・そうこみっくパーティの日・・・

今日こそは、そう今日こそは同人誌を買ってやるんだから!!

いままで売り子の人に話しかけることもできずにいて一冊も買ったことないけど、

今回はこの日のために作ったカンペがあるんだから、もう準備万全♪

これさえあれば念願の同人誌が・・・ああ、やっと読めるのね・・・

ということで早速あこがれの大庭先生の所に並んでっと・・・

 

「あ、あの、その…ど、同人誌見せてもらっても…あの、その…い、いいです…か?」

「ダメッ!!」

「えっ?」

「うちは立ち読み禁止なの!オタク連中はきれいな本しか買わないんだからね!
 立ち読みで汚れちゃったら売れなくなっちゃうでしょう!」

「あ、あう…」

「だから立ち読みといわずに買っちゃいなさいよね。 そ〜だ♪あたしがいろいろ見繕ってあげる♪」

「え…あ、あの…」

「これと、これと、あっこれも、それとラミカードとレターセットそれに………」

「あ、あ、その、ご、ごめんなさぃ…………」

ダッ!!

「あ〜ちょっと待ちなさいよ〜〜〜!!」

 

ハアハア………

あ〜驚いた、あんな状況「カンペ」に予定してなかったもの。

またいつものように頭の中真っ白になっちゃって・・・

せっかく一生懸命練習したのに・・・やっと大庭先生の本が読めると思ったのに・・・

グスン・・・これからどうしよう・・・

 

バンバン!!

「いらはい、いらはいっ!見るならダダや!スキに読んでってえな!
 値段も東京出店記念で勉強しとるでぇっ!
 ちょっとっ!!そこのかわいいおじょうちゃ〜ん!!」

「えっ…わ、わたし…?」

「そやそや!そこの動物園のクマみたいにボケ面かまして、うろうろしとる、あんたや!
 あんた目当ての本がのうて困っとんやろ、それやったらうちの本読んでき! 冷やかしやったらタダやで!」

「あ、あの…」

「なに怪訝そうな顔してんねん?べつに毒なんて入ってへんで!」

「うう…」

「どないしたんや?」

「ご、ごめんなさぃ………」

ダッ!!

「ちょ、ちょっとまち〜な!!」

 

ハアハア………

い、いきなり話しかけられんるんだもの、どうしたらいいかわからなくなっちゃった・・・

せっかく声をかけてくれたのに・・・また買うチャンスのがしちゃった・・・

どうして私ってこうなのかしら・・・自己嫌悪におちいりそう・・・

で、でも悩んでる暇はないわ!今日こそはって決意したんだから!

え〜と、どこかに良さそうな同人誌は・・・・

キョロキョロ………

あっ!!あれって私が声をあてた格闘ゲームの同人誌!

み、見てみたいな・・・

 

「あ、あの………」

「はい、いらっしゃいませ♪」

「ね〜〜〜玲子まだ来ないよ〜〜〜!」

「え………」

「あっ、すいませんこっちのことですのでお気にしないでください。
 ちょっと美穂!静かにしてちょうだい。」

「え〜だって〜〜〜も〜玲子の奴ぅ〜〜!」

「え、えと………」

「ほんとすみませんでした。あのぅそれで…」

「あ、あの…こ、この…えと…その…この本、あの…み、見せてもらっても…あの、その…」

「はい、ど〜ぞごゆっくり見ていってください♪」

「あ、はい………」

ペラペラ………

・・・こ、これってひょっとしてひょっと噂で聞いた「やおい本」ってやつ?

あう〜こんなのだなんて思ってなかったのに・・・

ど、どうしよう?で、でもちょっとだけ、もうちょっとだけ見たい気も・・・

「あの〜うちの本どんな感じですか?」

ドキン!!!!

「えっ!!あ、あの…私…そ、その………そ、そんなつもりは…じゃなくて、あ…」

「どうかしましたか?顔真っ赤ですよ?」

「えっと、その…だ、だか…ら、ご、ごめんなさぃ…………」

ダッ!!

「あ、あのちょっと…」

「ねえ、いまの子なんだったの結局?」

「さあ?」

 

ハアハア………]

はあぁぁぁぁぁ、まさか「やおい本」だったなんて・・・

でもちょっぴりおしかったかしら?・・・・って、そーじゃなくて!

けどこのままじゃいつも通りでまた一冊も買えないってことになっちゃいそう・・・

ううん!弱気になっちゃダメ!ファイトよ、あさひ!今度こそ私は生まれ変わるんだから!

あっ!あのサークルの絵、なんだか渋くていい感じ・・・

それじゃあ今度こそは・・・

 

「あ、あの………」

「…………………」

「え、えと………」

「…………………」

「うぅ……………」

「…………………」

「ご、ごめんなさぃ………」

ダッ!!

「………………?」

 

ハアハア………

グスン、またダメだった・・・やっぱり今回もダメなのかしら・・・・

もう・・・帰ろう・・・

トボトボ………

あ・・・あそこのサークルの本・・・なんだか不思議とひかれる絵・・・

見てみたい・・・でも・・・

 

ウロウロ………

 

ううん、でもじゃなくて行くのよ、あさひ!くじけちゃだめなんだから!!

ちゃんとカンペで練習もしたんだし!行くのよ、あさひ!!

「なにか……」

「!」

あう、いきなりの先制攻撃?で、でもカンペどおりにすれば…あれこういうときどうするんだったっけ?

わ、忘れちゃった!え〜とカンペ、カンペは・・・

「あ、あれ?こ、ここに……」

あれ?カ、カンペが無い・・・ど、どうしよう・・・

「………」

「あのさあ」

「あ、は、はいっ!?」

「なんか探しモノかな。よかったら、一緒に探してあげようか?
 その様子からじゃ、大事なモンなんだろ?」

「あ、い、いえ、その、あの……あたし………」

「いいって、いいって。困ったときはお互い様だって」

 

あっ・・・・・・・・今度は大丈夫な気がする・・・・・・・




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あとがき

どうもCGCです。

みなさんここまで読んでくださってありがとうございます。

今回は初のあさひちゃんSSに挑戦してみました。

一応、主人公と出会う前の話ということで、主人公は最後に出てきています。

セリフと内面のギャップを引き出すため、あさひちゃん自体がゲームよりだいぶ

明るい雰囲気になってしまったかと思います。

なにはともあれまだまだ未熟な私ですがこれからもよろしくです。